1. 2023/11/14(火) 17:53:38
10月2日。思わぬタイミングでの着電だった。翌日にDeNAの2軍施設に来てほしいと伝えられ、戦力外通告が待っていることを悟った。話を聞きながら、隣の妻・菜々美さんに対して片手で「ごめん、ごめん」の仕草をつくる。気持ちの整理をする間もなく、業務連絡の電話はすぐに終わった。
■2018年に結婚、懸命に戦う夫を見てきたからこそ出た「おめでとー!」
不意打ちの知らせに、驚いたのは菜々美さんも一緒だった。「もーびっくりしちゃって、祥ちゃんの肩をバシバシ叩いて『お疲れー!』『おめでとー!』とか言っちゃっていました」。家族の岐路を迎えた車内は、思わぬ明るさに包まれた。
妻には、少しだけ悔いが残る。
「いつかそういう日が来たら、ちゃんと『今までお疲れさまでした』って気持ちを丁寧に伝えて、ゆっくり労おうと思っていたんです。まさか、あんなタイミングで知るとは思っていなくて……」
ただ、「おめでとう」のひと言は、無意識だからこそ出た心の奥の本音でもあった。
出典:full-count.jp
通告から1か月あまり。4歳と1歳の愛娘が可愛い盛りの4人家族は、目の前に決断が迫っている。現役続行の機会を求め、一家の大黒柱は11月15日に行われる12球団合同トライアウトに向かう。
+135
-8
回転寿司チェーンで食事を済ませ、帰宅する道中だった。ファミリーカーの助手席で、スマホが鳴る。プロ7年目を終えたばかりの笠原祥太郎投手は、普段見慣れない番号にすぐ勘づいた。「きた」。予想通り、相手はDeNAの球団関係者。電話に応対しながら、隣でハンドルを握る愛妻を見た。