1. 2023/11/05(日) 14:49:25
30代の山本さんは恋愛経験も豊富で、これまで結婚寸前まで進んだ恋人も2人いた。女性のために家事をし、デートを計画するなど、尽くすのが大好きな山本さんは恋人の喜ぶ顔を見るのが好きで、恋人ができると彼女を目いっぱい甘やかすという。「2人とはそれぞれ結婚を前提に同棲したこともあったんです。ところが2人とも、同棲前までは朗らかで明るくて優しい恋人だったのに、同棲後は意見の衝突があったときに簡単にキレるなど、別人になる。もう女性が信じられなくなりました」
こういった経験から女性不信になった山本さん。そんなときに付き合った女性がポリアモリーの女性だった。
「彼女にポリアモリーという愛の形を聞いて、僕に合うかもしれないと思いました。ポリアモリーの勉強会にも行き、理解を進めていきました。もう、ひとりの女性にすべてを賭けて愛するのは怖い。傷つくのが怖いんです」
冒頭でも記したように、現在、山本さんは2人の女性を愛している。ひとりは1年半、もうひとりとは半年つきあっている。だが、半年つきあっている女性はモノアモリーなので、山本さんは、別の女性と付き合っていることを隠している。
山本さんの話を聞くと、ポリアモリーのジレンマは大きく分けて3つあるようだ。
(1)ポリアモリーの人間が少ないから、モノアモリ―の人と付き合い、ウソをつくはめになる。あるいは、理解してもらうのに非常な努力が要る
(2)ポリアモリー同士では、それぞれに相手がいるから長続きさせるのが難しい
(3)複数のパートナーがいることによる肉体的・精神的ストレス
「よく誤解されるんですが、ポリアモリー=なんでもありの自由恋愛ではなくて、ポリアモリーの定義とは、複数の人それぞれ誠実に向き合って関係を持つ、ということなんです。極端な話、それぞれが合意していればどんな関係性でもよい。各パートナーとフルカスタムで契約書を作るようなものなので、とても誠実さと根気(そして時間やお金)がいるパートナーシップです。続けるだけでもそれなりにしんどい場面もあります」
「あと、自分のパートナーが自分以外の誰かと関係を持つことに嫉妬しないのか?とよく言われますが、それは正直ないんです。むしろパートナーがほかの恋人の話を幸せそうにするのを聞くとこちらもうれしくなるんです。それでも自分が後回しにされてるように感じる時は嫉妬することもありますよ。要はお互いが十分に愛を感じられている状態であることが大事なのだと思います」
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多様な性のあり方がやっと可視化されてきた昨今、「ポリアモリー」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。複数の人々を同時に等しく愛するポリアモリーは、モノアモリー(1対1の関係)を基本にした社会では「性的指向」ではなく、「ライフスタイルの選択」と捉えられている。