1. 2023/10/09(月) 22:28:27
殴る蹴るの暴力を受けた経験もなければ、信仰を強要された覚えもない。ただ純粋に、母親への違和感と不信感だけが募っていった。
「幼稚園生くらいのころから、心身ともに健康な他の母親とは明らかに違う部類の女性だなと感じていました。当時の私は、完全な放置子だったと思います。日中、母は寝ていて、私の世話などは一切しません。私は家にいても退屈なので、寝ている母を尻目に外出します。狭い集落で、だいたいの人が私を暖かく受け入れてくれたので、人の情みたいなものは他人から教わったのかもしれません。
放置といえば、実際に母と外出した際に置き去りにされたこともあります。本当に私を忘れていたようでした。そんなこともあって、当時からなんとなく、『母には、私や家族よりも大切なものがあるのではないか』とは漠然と思っていました」
(中略)
「母はエホバの証人の方式で葬儀を行いと言い出し、それを私が拒絶しました。復活を信じているエホバの証人では、喪服も着ません。これまで母親の宗教の都合に振り回されてきた不満が噴出した形です。直接的にはそれを契機として、交流が途絶え、実質的にはもう会話などもしていません」
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「宗教2世が世間を騒がせる事件を起こすたび、『先を越された』――そんなふうに思っていました。同時に、『自分が殺人犯になっている世界線もあったかも』などと本気で考えていました」 言葉を慎重に選びながら内面の葛藤を口にするのは、水野宏美氏(仮名・40代)だ。