1. 2023/10/01(日) 17:39:45
最近は話題の人と中継をつなぎ、トークで相手を深掘りしていくという形式だったが、どうにもマツコさんの切れ味が悪い。それは相手が「異常な人」でありながら、「異常な人として扱われることの悩みや辛さ」を吐露する場面も多かったからだ。マツコさんには弱い部分も見せちゃいます、というゲストの本音は、テレビ的にはオイシイ。でも猛獣兼猛獣使いというマツコさんの特質を殺してしまう。放映後に躍る「マツコの言葉に号泣」「思わず涙」というネットニュースの見出しは、もはや陳腐化して見えた。でもそこに潜む「繊細さ至上主義」とも呼べる風潮が、番組終了のもう一つの原因ではないだろうか。
マツコさんはかねてより、女子アナに手厳しいことでも有名だ。今をときめく女性たちの、カン違いした自意識や無自覚な傲慢さに対する嗅覚は鋭かった。「マツコ会議」でも、そういう角度で切り込むことはできただろう。ただゲストから「マツコさんなら話せる」と全幅の信頼を寄せられては、小姑キャラでなく秘密の話を聞くカウンセラーに徹するしかなかっただろう。昨今のテレビ業界に向けられる視聴者目線の厳しさや、ハラスメント意識の高まりも無視できない。ゲストとスタッフを裏切ってまで、自分の持ち味を貫こうとは思わなかったのではないだろうか。
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平成は「サバサバ」女子がもてはやされていたが、今は「メソメソ」女子の方が共感を呼ぶのかもしれない。鈍感な強者よりも、繊細で傷つきやすい人間でありたい。だから泣いてしまったことは隠さず語りたい。泣ける経験が欲しい。それは「異常者」を良しとしてきた従来のテレビやマツコさんからは、大きく隔たりのある価値観ではないだろうか。
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「マツコ会議」、8年の歴史に幕。視聴率や収録体制など、さまざまな理由が報じられているが真相は謎である。…