1. 2023/08/18(金) 10:14:38
日本にも女は子どもを産むもの、という刷り込みがいまだにある。そして、国のために女に子どもを産んでもらわないと、と考える人たちがいる。子どもがいて一人前、子どもがいると幸せな家族になる、という人もいる。家族制度の悪しき残滓である。
個人の前に家族、個人の前に国があると発想するからこうした考えになる。
反対である。個人があって家族があり、個人が集まって国になる。まずは個々人が、自分の生き方に責任と自信を持つことが何より大切なのだ。
自分が選び取った人生を送っていればこそ、他人の人生を尊重することができる。
私は子どもを作らない選択をした。後悔したことは一度もない。
子どもがいない人にはさまざまな理由がある。ゆえに「子どもがいない人」を十把一絡げに語ることはできない。私の場合は、身体的理由でも、環境的理由でもなく、自分の希望で子どもを持たなかった。
「子どもがいなくて淋しいでしょう」
と言われても、最初からいないものに、そうした感情は湧かない。愛情を注いだものがいなくなったときの淋しさはよくわかる。愛猫を亡くしたときは、一年間、まるで影のようだと友人に言われていた。
「子どもがいたら、もっと素敵になったのに」
と、キャスターをしていたころに、男性ディレクターによく言われたが、余計なお世話である。皆、同じ価値観でないと気が済まない人がいるのだ。
子どもがいない人が増えてきて、こうした不躾な物言いは減ってきた。
(中略)
昔もいまも女性にとって、「子どもがいれば幸せ」ではない。自分はどうしたいのか、を自分に問い、自分で選択しなければならない。そして子どもを持ちたい人も、持ちたくない人も、生きやすい社会でなければならない。
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価値観の多様化が急激に進み、若年層の「家庭」についての意識が変わりつつあるが、かつては子どもを持つのが当たり前という価値観が一般的だった。そんななか、元NHKアナウンサーの下重暁子氏は子どもを持たない生き方を選んだ。いったいなぜなのか。