1. 2023/07/25(火) 11:56:00
なぜシャチのメスが閉経を迎えたあとも20年以上生き続けるのか、大規模な調査が行われてきた。その結果、2023年7月20日付けで学術誌「Current Biology」に発表されたグライムス氏らの論文によると、閉経後のシャチの母親は、自分の息子が他のシャチとの争いに巻き込まれて負傷しないように守っているという。(中略)
南部定住グループでは、息子も娘も生涯を同じ群れで過ごす。ただし、オスは別の群れの複数のメスと交尾する。つまり生まれた子どもの世話は交尾相手のメスが属する群れが担うことになり、オスが属する群れにとってはいわばコスト削減になる。さらに、母親にとっては、娘より息子の方が、自分の遺伝子を多く伝えてくれる。
「オスの方がメスに比べ生殖の機会が多く、メスは交尾相手として年長の体の大きいオスを好みます」とジャイルス氏は説明する。「もし閉経後のメスが息子に十分な食料を与え、争いごとから守ってやれれば、オスはそれだけ年齢を重ね、大きく成長できる可能性が出てきます」
今回の調査結果は「メスが成長した息子を優先的に世話するのは、息子が繁殖により成功するようにして、自分の遺伝子を伝えるためだとするシナリオを裏付けるものとなりました」とジャイルス氏は言う。
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閉経後のシャチの母親が、自分の息子が他のシャチとの争いに巻き込まれて負傷しないように守っていることが最新の研究で明らかになった。