1. 2023/06/28(水) 14:54:31
――それに対して日本はどのように備えればいいのでしょう。
亀山 例えば、米中の対立が「台湾有事」のような形に発展した場合、そこに日本が巻き込まれる可能性が指摘されていますが、その際にロシアが中国だけに日本を抑えさせるとは思えない。そこにロシアが絡んでくる可能性がある。従って、中国を恐れるのであれば、中国・ロシアの二正面作戦となることも想定する必要があります。
それに対して、まずは抑止力を高めるというのは非常に重要だし、私もまっとうな考え方だと思いますが、では、どれだけの防衛力を備えれば抑止力たりうるのかと考えると、仮に中国一国が相手でも自衛隊単独では難しいでしょうし、ロシア・中国二正面になればなおさらですから、突き詰めると「結局、核武装しかない」みたいな話になりかねない。
出典:i.imgur.com
何よりも「戦わずに済む」ことが重要だというのが、ウクライナ侵攻の最大の教訓です。そして、それを可能にするのは大国の力の均衡や秩序だとすれば、安定が失われた極東地域で大国同士の新たなパワーバランスを実現することが戦争を避ける現実的な手段です。
ですから、日本は今後もアメリカとの密接な関係を維持しつつ、一方で、独自の外交的なアプローチも駆使しながら米中ロという3つの大国の間で不安定化している極東地域に、新たな均衡と安定を実現するための「バランサー」としての役割を担っていく必要があるのではないかと思います。
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