1. 2023/06/07(水) 12:59:06
夫婦はクリニックで行われた着床前診断の際、医師が移植すべき胚の選択を誤って、流産する可能性が高い、異常のある胚を移植されたということです。具体的には移植した胚は「部分トリソミー」という、ある染色体が正常の2本ではなく、部分的に3本になった状態のものだったということです。胚はそのまま移植され、3週間後には妊娠の陽性判定が出ましたが、その後、心拍が確認できないと診断され、まもなく流産しました。
(中略)
2020年6月、クリニックの責任者らはミスを認めて、夫婦に謝罪しました。加えて、診療を継続させてもらえる場合には「今後万全の態勢で行う」という趣旨の誓約をしたうえで、100万円の和解案を提示してきたということです。このため、夫婦は翌月から再度診療を再開しましたが、今度は医師が夫に受精不可能な方法を説明してきたために、夫婦が責任者に問い合わせをしました。すると、翌日に内訳は示されないまま、解決金250万円を支払うとのメールがクリニックから送られてきたということです。
夫婦は一連の対応でクリニックに対し、不信感を募らせていたところ、責任者から「信頼関係が完全に破綻しているので、明日以降の診療はお断りさせていただく」という内容のメールが送られてきました。なお、夫婦は「リプロダクションクリニック大阪」に診療を拒否された後、複数のクリニックを受診し、2021年に無事出産できたということです。
夫婦は治療費のほか、クリニックから適切な説明があれば回避できたはずの流産をさせられたこと、流産による出産可能性の低下、診療を拒否されたことへの慰謝料などとして、1000万円あまりの損害賠償を求める訴えを7日、大阪地裁に起こしました。
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訴状などによりますと、夫婦は夫側に精巣から心臓へ戻る血液が逆流してしまい、静脈がこぶのようになる病気「精索静脈瘤」を伴う無精子症があります。また、異なる2本の染色体に切断が起こり、その断片が交換されて、他方に結合して、遺伝情報が過不足した染色体をもった精子ができる可能性がある「相互転座」の症状があったということです。それでも夫婦は子どもをもうけたいと考え、妻が37歳を迎えた2019年にグランフロント大阪に診療拠点を持つ不妊治療専門の医療機関「リプロダクションクリニック大阪」に通院し、不妊治療を受けることになりました。