1. 2022/09/15(木) 11:12:11
西成の街を歩けば必ずといっていいほど目に入ってくるのが、「福祉の方 応相談」などと書かれた看板。高齢化で思うように働けなくなった元日雇い労働者が相談に行くと、元簡易宿泊所という看板を引っ提げている連中が、相談者を連れて役所の担当窓口に行き、生活保護の申請から支給までを一手に引き受ける。それが「貧困ビジネス」だ。一見すると、生活困窮者に手を差し伸べる善意の人のようにも思えるが、生活保護で支給される金額の一切を管理するので、申請者本人の取り分はほとんどないのが実態である。
西成の福祉住宅の家賃はほぼ一律で、4万円ほどに設定されている。これは生活保護における住宅扶助の上限に合わせて揃えてあるためだ。貸主からしてみれば、生活保護として毎月決まった額が必ず入ってくるので取りっぱぐれがない。実に安定的な家賃収入が見込めるわけである。加えて、食事の提供などをすれば、その分も生活保護費から差し引いていくので、ドヤ街では効率のいい安定的なビジネスとして広まっているようだ。
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賃金が上がらないなか、物価ばかりが上昇し、日本はどんどん「貧しい国」になりつつある──。政財界から貧困の現場まで自ら足を運び「取材するYouTuber」の異名を持つ、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は、新刊『一億総下流社会』(MdN新書)で「日本の貧困化」の実態を掘り下げる。