1. 2022/08/20(土) 18:56:43
前頭葉の機能が低下すると、まず感情の老化が表れます。若い世代ほどよく笑い、よく泣いたりしますが、中年を過ぎるころからそういった豊かな感情表現が消えてしまい、何となくいつもムッツリしていて表情の変化が乏しくなります。
そして感情の老化は感情コントロールも難しくします。
あらゆる感情の中でいちばん強くてコントロールが難しいのは怒りです。喜びや悲しみは「泣いたカラス」と同じですぐに消えますが、怒りはパワフルで、いちど爆発してしまうとなかなか収まりません。
暴走老人に限らず、老化現象のひとつに「頑固になる」とか「怒りっぽくなる」というのがあります。その原因も前頭葉の萎縮による感情コントロール力の低下と、前頭葉機能の低下で感情の切り替えがきかないということのふたつになってきます。
人と会って話す、おしゃべりして楽しい時間を過ごすというのは、相手の話に共感したり自分の気持ちや考えを素直に伝えることが必要です。
「なるほど、そういう見方もあるか」とか「言われてみればその通りだな」といった経験は、柔軟な思考法を自然に育てていきます。初めての経験やドキドキ、ハラハラする世界を楽しむというのも、食わず嫌いを遠ざけ、「この歳になっても知らない世界ってまだまだあるんだな」という気持ちにさせてくれるでしょう。
すべて、頭を柔らかくしてくれる体験です。前頭葉を刺激して活性化してくれます。
高齢になるとどうしても「結果はもうわかっている」とか「こうでなければいけない」「こうなるはずだ」といったいままでの人生経験から導かれる答えや予測を正しいと思い込む傾向が強くなります。いわゆる「かくあるべし思考」ですが、この思考法に捕まってしまうと苦しい老い方を強いられます。
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なぜ老人はキレやすいのか。精神科医の和田秀樹さんは「老化すると感情をコントロールする前頭葉の機能が低下し、感情の切り替えがうまくできなくなる。『頑固になる』や『怒りっぽくなる』といわれるのは、このためだ」という――。