1. 2022/08/13(土) 16:37:58
近さんの長男裕之さん(49)と妻の雅恵さん(48)も同社の販売再開に胸中は複雑だ。「お菓子に罪はないが、本音を言えば目にしたくないものに変わってしまった」。労災の申請手続きの書類は手つかずのまま。「書くことが悔しい。これで片付けられてしまう気がする。どういう形で責任を取ってもらうのがいいのでしょうか」と投げかける。
同社の対応を巡っては、遺族が何度も要望した記者会見は火災から約3カ月半後に行われた経緯もあった。渡辺さんの夫進さん(71)は「謝罪会見でも何でもなかった。ただの工場再開のための説明会ですよ。何度も何度も自分らの都合で逃げてきた」と改めて批判し、「悔しくて悔しくて。まだ納骨もできていない」と打ち明けた。自宅玄関には今も妻の花柄のスリッパを並べている。
火災から半年となっても遺族たちの苦悩は続く。伊藤さんの夫(74)は毎晩、こう思い返すという。「毎日帰ってきてそうやって生活してきたものが『ああ、やっぱりこれで帰ってこにゃーだな』と思うとね、切ねえ」
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新潟県村上市の米菓製造大手「三幸製菓」で2月11日深夜に発生し、6人が死亡した火災から半年が過ぎた。同社はお菓子の販売を再開し火災現場の建物は解体も進むが、遺族の時間は止まったままだ。