1. 2022/07/30(土) 10:29:53
やまもとさん 薄毛になったのは21歳の頃でした。自分は何とも思っていなかったのですが、「女なのに薄毛」みたいな視線をとくに男性からすごく浴びて、「女なんだから、治すか隠すか対処したほうがいいよ」っていう無言の圧力みたいなものも感じるようになったんです。だんだんと、「薄毛を何とかしない自分は悪いんだ」と思うようになっていきました。
出典:beauty-cdn.oricon.co.jp
やまもとさん あまり人目を気にしない性格なので、薄毛をなんとかしないととは思わなかったんです。だけど、私の存在によって場が気まずい雰囲気になることが多々あって、「私の薄毛が迷惑なんだ」って考えるようになっていました。でも、どうしたらいいのか対処法がわからない。だから、男性社会でよくある“薄毛いじり”をならって、自分から「ハゲだよ」って何とか場を和ませました。そういうことが言える相手や雰囲気でない時は、夏でもニット帽をかぶって過ごしました。自分が我慢さえすれば、まわりの空気がよくなるって思っていましたね。
――髪を生やす、増やすことに専念していましたが、漫画開始から2年後の2018年に、「治療も隠すこともしない」と決意しました。
やまもとさん 髪を失った女性の生きづらさを、社会学の観点から研究する吉村さやかさんに取材を重ねたことがきっかけです。吉村さんは脱毛症の当事者であり、女性が髪を失ったことによって生じる問題は、髪を失った状態そのものではなく、それを問題と捉える社会に問題があると提言されています。それまで私は、「女性の薄毛は治すべき、隠すべき」だと思い、うまく対処ができない自分が悪いと思っていたので、目から鱗でした。もしかしたら私自身の価値観も、本意ではなく、社会から作られたものではないかと自分を疑ったんです。
そして社会学関連の文献を大量に読み、吐くほど自分の気持ちを紙に書くなどして本心を探っていきました。すると、やはり…というか、自分は薄毛であることをさほど気にもとめないし、隠したいとも思っていないことに気づいたんです。そこで、いったん治療を止めて、自分に選択肢を与えてみたんです。
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自らを「薄毛女子=“すげじょ”」と名乗って活動するすげじょのやまもとさん。薄毛治療の体験談などをエッセイ漫画で発信していたが、ある時から「薄毛は悪くないし、恥ずかしいことでもない」と思い直し、治療を止めることを決意。現在は、薄毛女性が生きやすい偏見のない社会を目指して、さまざまな活動を行っている。女性が抱える“薄毛であることの生きづらさ”について、詳しく話を聞いた。