1. 2022/06/29(水) 00:50:59
減少の一途をたどる京町家もこの10年ほどで、別荘や投資先として外国人に買われるケースが増えた。老朽化した町家に巨額の投資を呼び込み、再生させる中国系企業もある。市内のある不動産業者は「元の持ち主が居住して京町家の文化を引き継いでいくのが一番だが、インバウンドブームで多くの建物が救われたことも事実だ」とつぶやいた。
地元の若者がローンを組んでも手を出せない住宅や企業が手放した高額物件を、海外勢が買っていく―。こんな京都の姿から見えてくるのは、約30年にわたって物価や賃金が伸び悩み続ける、日本という国の“安さ”だろう。
「賃金が年3%、物価が2~3%ほど上がっていくのが欧米の当たり前。日本だけおかしな状況が20年以上も続いてきた結果、海外との差が開き、物やサービスの値段が安すぎるという状況が起きている」。渡辺努・東京大大学院教授(マクロ経済学)は指摘する。値上げを許容できない消費者と、物の値段を動かせず、賃金も上げられない企業。悪循環の中で、日本は世界の経済成長から取り残されてきた。
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金閣寺に近い京町家風の宿、駅近の投資用マンション…。中華圏の投資家が利用する日本の不動産情報アプリ「神居秒算」を開くと、数千万円から1億円超の値段が付いた京都市内の物件がずらりと並ぶ。