1. 2021/11/24(水) 00:24:26
赤僕で描かれる社会問題は、1990年代を表しているものもあれば、「今も同じだ」と感じられるものもある。
社会問題を扱ったエピソードのテーマは、いじめや虐待、親の離婚など子供が関係するものから、学歴差別やダブルインカム家庭の苦労まで多岐に及ぶ。
1巻では、母を突然亡くしたばかりの拓也の心情が細かく描かれる。ヤングケアラーという言葉もない時代だ。「読んでいて辛い」と思いそこで本を閉じる読者もいるという。
しかし、1990年代という時代背景を踏まえたうえで、読み進めてほしい。昔は、「上の子が下の子の面倒を見る」ということが風潮としてあった。だから母親を亡くしているということが前提としてあるとはいえ、実の世話をする拓也姿は、90年代以前、「兄」や「姉」と役割づけされた多くの子供たちの姿と似ているかもしれない。
現代と異なるところ、現代と同じところをそれぞれ見つけてみると、連載終了以降の約25年で何が変化して何が変化していないのか、よくわかる。赤僕はそういった楽しみ方もできるのだ。
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1991年、「花とゆめ」(白泉社)に掲載されたある読み切り漫画が反響を呼んだ。タイトルは『お兄ちゃんと僕』。作者は、当時まだデビューしてまもない羅川真里茂である。同誌で『赤ちゃんと僕』とタイトルを改め連載が始まると「赤僕」ブームが巻き起こり、現在、累計発行部数1770万部を記録する大人気作となった。主人公は死んだ母親の代わりに2歳の弟・実(みのる)を育てる小学6年生(最初は小学5年生)の榎木拓也(えのき・たくや)である。二人の家族は父の春美(はるみ)で、息子たちを誰よりも大切に思っている。他にも拓也と実の友達や隣の家族、春美の部下など、個性豊かな人物がたくさん登場する。