1. 2021/04/28(水) 11:06:53
しかし、ここで“1つ目の壁”に阻まれることになる。捜査一課は名誉毀損罪(3年以下の懲役など)での立件を考えていたが、条件を満たす書き込みが見つからなかったのだ。ある捜査員は、
「名誉毀損罪が成立するためには、ウソでもホントでもいいから『部長は部下にセクハラをしている』といったような具体性のある書き込みが必要になる。でも、木村さんに対しては『死ね』や『気持ち悪い』といった抽象的な書き込みばかりだった。誰もがちょっとした感情を気軽につぶやくSNS時代らしい現象ではあるのだが……」とため息を漏らす。
捜査一課に残された道は、刑法の中で最も罪が軽い「侮辱罪」(1万円未満の科料など)での書類送検しかなくなった。その方向で捜査を進めると、次は“2つ目の壁”にぶち当たってしまった。匿名の書き込みをどこの誰がしたのか特定するため、米ツイッター社に投稿者の情報を開示するよう問い合わせたものの、応じてもらえなかったのだ。
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SNS上で度重なる誹謗中傷を受けたプロレスラーの木村花さんが、22歳で自らの命を絶ってから間もなく1年となる。木村さんは死の直前、「毎日100件近く率直な意見。傷ついたのは否定できなかった」とツイッターに綴っていた。しかし、警察は悪質な書き込みをした犯人を2人しか立件できておらず、「ネットいじめ」を巡る捜査の限界が浮き彫りになった。その背景には警察を阻む“2つの壁”があった。