1. 2020/11/02(月) 13:46:11
かなり古い話になるが、1974年9月に「風吹ジュン誘拐事件」が起きた。当時、風吹はアド・プロモーションという事務所と仮契約を結んでいたが、レコードがヒットしても月給は23万円に過ぎなかった。これに不満を持ち、倍の月給を提示してきたガル企画という事務所に移籍してしまった。そんな折、フジテレビで収録を終えた風吹の前に、旧所属事務所であるアドプロのマネージャーなど3人が現れ、風吹の腕をつかんで連れ去ってしてしまったのである。彼らは風吹をホテルに軟禁状態にし、事務所移籍を考え直すよう迫ったのだ。
風吹が「翌日の仕事のため衣装を取りに行かなければならない」と言い、階下に降りたところ、待ち構えていた大勢の警官によって保護されることとなった。人だかりの中には包帯を巻いたガル企画の石丸末昭社長の姿もあった。この間、石丸社長は、暴力団の事務所で監禁され、暴行を受けていたというのだ。風吹を軟禁した中には作詞家のなかにし礼もいたが、石丸社長は自身の解放の条件として、風吹との契約を解除するよう、なかにしの実兄の中西正一から迫られたという。
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古くは1953年、大手映画会社5社が、所属する俳優の引き抜き防止カルテルを結んでいる。それを引き継いだのが、1963年に設立された芸能事務所の業界団体・日本音楽事業者協会(音事協)だ。芸能事務所の意向を受けて、マスコミもこれに追従。タレントの独立・移籍の禁止は「芸能界の掟」として定着していった。 当然ながら、タレントが独立・移籍することは、法律上なんの問題もない。労働基準法の規定によれば、1年を超える期間の雇用契約は申し出をすればいつでも退職できるとされている。つまり、雇用契約を結んで1年が経過すれば、タレントはいつでも事務所を辞めることができるのだ。だから、芸能事務所は、引き抜き禁