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9903. 匿名 2024/04/30(火) 22:17:49
>>9398⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え
年上の後輩📿④
タクシーに乗っている間にどんどん具合の悪くなった私は、結局、悲鳴嶼くんに自宅で介抱してもらっていた
「ごめん…高いよね、そのスーツ…」
「そんなことはいいから。今の気分は?少しはすっきりしましたか?」
「うん、すっきりした…」
「ガル山さん、報告は虚偽無く、お願いします。」
これは彼の口癖だった。ミスはいい、だけど嘘は駄目だ。
彼は裸眼だと人の表情もわからないほど視力が低いのに、どうしてか彼に嘘は通用しない。誰も何も気にもとめないような、なんでもない書面の数字だけでも納得するまで一人で確認していたりする。そしてそこには実際ミスが隠れている。成功より大事な事は重大な問題を防ぐこと。彼はそこを徹底していた。
「…まだ、きもちわるい…」
「そうか。全部吐いてしまった方がいいな。」
少し我慢して、と言うと悲鳴嶼くんの太い指が口の中へ入り込み舌の根をぐっと押した。私はもうそこから先上司だというプライドも何もなくしてしまった。彼が加入してから数ヶ月、ずっと彼の働きぶりが目について嫉妬していた。
自分が一番助けてもらっていたのに。いつも、いまも。
ただただ、自分が情けなかった。悲鳴嶼くんはずっと背中をさすってくれた。大きくて温かい手だった。
初めに間に合わず溢してしまったので、その服のままバスルームに入ってシャワーを浴びた。温かいお湯というのは、曝け出したあとの心許なさを加速させる。
あたたかいものは、苦手だ。
泣かないようにぼーっとシャワーを浴び続けていると規則的な音が小さく聞こえてきた。
脱衣所に置いている電話が鳴っている。きっと彼氏からの電話だ。
猫!
すっかり忘れてた私はシャワーを止めずに慌てて電話に出た
「……今どこ?」
「ごめん!気分が悪くて一度家に帰ってて…」
「姫は?」
「今から、行く」
彼が深いため息をついた
「カメラ見てたけどさ、姫ちゃんやっぱ元気ないわ」
「そうなんだ…どうしたんだろう。猫風邪の初期かな…」
その時、振り返って驚きのあまり体が跳ねた
初めてうしろに悲鳴嶼くんがいることに気づいた。洗面台でスーツの汚れを落としていたらしい彼は、暗闇でじっとこちらを見ていた
ブラウスがべったり貼り付いた私の体から、ぼたぼたとお湯が流れ落ちる。
「食欲ないかもしれないかど、もし食べてなかったら特別におやつ出してもいいから、何か食べさせてやって」
「…うん。わかっ、た」
彼から発せられる空気が肌にひりつくほど重い
暗闇に佇む彼は、悲しんでいるようにも、怒っているようにも見えた
悲鳴嶼くんは目を逸らさずに、静かに私の方に一歩踏み出した
+38
-12
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9930. 匿名 2024/04/30(火) 22:40:35
>>9903
静かな緊張感ありまくりの展開に、あたいの肌もひりついてます…!+23
-3
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9932. 匿名 2024/04/30(火) 22:41:54
>>9903
👀🫣+22
-3
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9939. 匿名 2024/04/30(火) 22:50:11
>>9903
南無南無📿📿
語彙力は、昇天しました👼+22
-3
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9951. 匿名 2024/04/30(火) 22:58:58
>>9903
ドキドキ🫀…🏘+18
-4
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10414. 匿名 2024/05/01(水) 22:44:51
>>9903⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え⚠️🐚
年上の後輩📿⑤
さっきまでスーツに包まれていた上半身が、洗面台の灯りに照らされて浮かび上がる。場所も場合も忘れて見惚れてしまう。女が引きずり出されてしまうような、そういう体だった。
抱きしめられそうになって厚い胸を慌てて押し返すと、その手が掴まってしまう。固く締まった腹筋にひたりと押し付けられた
火傷しそうな熱さに驚く
「病院行くならネット予約するから言って」
「……ん、うん」
押しても引いてもどうにもならず、掴まれた手は彼の身体をなぞらされる。ふ、と息が漏れて、彼が気持ち良さそうに眉を顰める。張りつめた胸を通り、太い喉まで登ると解放された
出しっぱなしにしたシャワーの音が邪魔してモブ太の声が遠くに聞こえる
「ガル子?」
「…うん、聞いてる」
解放された手は、でも戻すことができなかった
その力強い体に見合った精悍な顔を撫でると、彼も私の顔を撫でた
こんなに優しく触れられたことはいつ以来か、考えてもわからなかった
もっとさわってほしくて、彼の厚い手のひらに頬を擦りつける
「飲みすぎだろ」
「ごめん」
ゆっくり首筋を撫で落ちていく指先が、電話を切るように促している
「姫ちゃん頼んだぞ」
「……」
「ガル子?」
「…ごめん…」
冷えた身体が、片手で覆えそうな大きくて熱い手のひらに溶かされていく。あと少しで声が出る、というところで必ずピタリと指が止まる。その繰り返しだった。
「おーい、寝るなよ?」
もうだめ
もう1ミリもうごかさないで
目で訴えると、冷ややかな目線がスマホに向けられた
「…本当に、ごめん。じゃあ、行くから」
電話を切った瞬間、悲鳴嶼くんが私を抱き上げてバスルームに入った
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