ガールズちゃんねる
  • 9612. 匿名 2024/04/30(火) 13:57:43 

    >>9604
    4月になったら③

    ⚠️先生×元生徒⚠️なんでも許せる方

    去年と違って担任を受け持つことになって目まぐるしい日々。授業の準備だけでなくクラスの運営に関しても考えることは山積みで、ベテランの先生方にフォローしてもらいながら何とかこの1ヶ月が終わる。1年目とはまた違った緊張感と疲労感。ん?1年目?

    「4月中しか受け付けない」
    数時間前、社会科準備室を出る時に言われた言葉が引っ掛かる。4月中?4月、4月…!?

    社会科準備室はすでに施錠されていた。それでは職員室にと急いで向かったがいない。もう帰ってしまったんだ…思わず煉獄先生の席の横でしゃがみこむ。
    ため息をつきながら煉獄先生のデスクの卓上カレンダーを見上げる。明日から5月。4月が終わる。
    ──あれ?几帳面な煉獄先生は月が変わる前日にはカレンダーを変えるはずなのにこのカレンダーは4月のまま。立ち上がろうと先生の椅子の座面に手をついた。

    走りながら先生の言葉を反芻する。
    まだ間に合う。座面はまだ少しだけ温かかった。

    4月は終わっていない。
    間に合え。間に合え。煉獄先生が電車に乗ってしまう前に。

    改札を通り、ホームに急ぐ。煉獄先生ってどっち方面だったけ?すでに電車の接近メロディが流れている。
    いた!向かいのホームに煉獄先生を見つける。

    「煉獄先生!」
    私の叫び声をかき消すかのように電車がホームに入ってくる。ああ、結局間に合わなかった。電車は煉獄先生を乗せて出発する。沢山の乗客に阻まれ、煉獄先生の姿を見つけることも叶わない。

    煉獄先生は私にチャンスをくれたのに。結局台無しにしてしまった。

    ───4月が終わる

    「君は諦めがいいんだか悪いんだか」

    会いたかった人の声がする

    「違うな。諦めが悪いのは俺の方だ。君が来るんじゃないかと電車に乗らずに引き返してしまった」

    声を出したいのに声にならない

    「この1ヶ月ずっとやきもきしていた俺の方がよっぽど…」

    差し出された手を掴み、立ち上がる

    「煉獄先生が好きです。付き合ってください」
    「俺も君のことが好きだ」

    つづく

    +34

    -19

  • 9620. 匿名 2024/04/30(火) 14:13:59 

    >>9612
    わぁぁ♡✨
    ガル田先生、4月に入ってすごく頑張ってたんですね。
    煉獄先生が実はずっと待ってたことにキュンキュンしちゃいます

    +17

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  • 9629. 匿名 2024/04/30(火) 14:38:47 

    >>9612
    読んでます✨続きも楽しみにしてます🥰

    +20

    -7

  • 9636. 匿名 2024/04/30(火) 14:57:10 

    >>9612
    読んでます!
    私も煉獄先生に「断る」って言われたい☺️(ドM)

    +24

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  • 10949. 匿名 2024/05/02(木) 22:55:39 

    >>9612
    4月になったら④
    ⚠️先生×元生徒⚠️なんでも許せる方
    ⚠️もう5月です

    「ちょっと待ってください。それって…」

    GWに何も予定がないという彼女を別荘に行かないかと誘う。

    「もちろん泊まりだ」

    交際開始から数日で泊まりがけのデートは早いだろうか。戸惑っている彼女が可愛らしい。

    「俺たちは教師同士で何の問題もないはずだが?」

    教師同士だから問題ないという彼女の口説き文句を引用させてもらう。

    「こ、心の準備というものが…!」

    案の定、夜のことを気にしているのだろう

    「部屋は複数あるから安心するといい」
    「へ?」
    「俺がただ君と一緒に過ごしたいだけだ。寝るのは別々で構わない。付き合って数日で手を出す気など更々ない」

    彼女の表情が幾分か和らぐ

    「ダメだろうか?」

    ─*─*─*─*─*─*─*─

    5月の避暑地の朝はまだまだ寒い。
    都会とは違う澄んだ空気の中を俺のカーディガンを着た愛おしい人と歩く贅沢な時間。折った袖から伸びる手が遠慮がちに俺の服をつまんでいる。

    別荘に戻ったらコーヒーを淹れよう。温かいスープと先程買った焼きたてのパンで朝食だ。

    「ひゃっ」

    どうやら朝露が木から落ちてきたようだ。ハンカチで彼女の丸い額をそっと拭う。

    「あの…」

    気がつけば俺はハンカチを持ったまま親指で彼女の頬を撫でていた。
    真っ赤な顔をもっと変化させてみたくなる。
    ひょうひょうとして大人びているようで、大胆な面がある。一方で色恋には少し疎い。

    そんな彼女は顔を近づけた俺の意図を理解したようで覚悟したように目を閉じた。

    続く

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