ガールズちゃんねる
  • 9463. 匿名 2024/04/29(月) 23:18:11 

    >>9348
    仮初の友よサヨウナラ

    暫くして、ガル子は私と同じ会社に無事、転職を果たした。
    持ち前の明るさと、コミュニケーション能力の高さであっという間に社に溶け込んだガル子。

    流石だとしか言えないが、そんな彼女が誰よりも人に気を使う人間だと知っているから、少し心配してもいた。

     何となくだが、頑張りすぎている気がする。
    恐らく、モブ澤や自分に紹介してもらったのだから、顔を潰したく無いとでも思っているのだろう。

    「あまり無理しない様に。」とだけ忠告した。
    ガル子の希望でモブ澤と交際している事は、社内では一切伏せられていた。

     モブ澤が転職を進めたとはいえ、転職をしたのは彼氏と一緒に仕事をしたいからだとか、何かしらの煩わしい噂を懸念しての事だった。

    我が社は大手故に実力主義だ。途中入社の人間を見る目は、時に厳しい。
    しかし、最初こそ様子を見ていた会社の人間達も彼女の仕事振りを見たら何も言わなくなった。むしろ、女性社員には懐かれてもいたし、彼女に憧れる男性社員も何人もいた。

     ガル子が会社での立ち位置を確立していく度に、歯痒い思いをする者がいるなんて、誰が想像しただろうか。

       それがまさか恋人だなんて。尚更だ。

    「悲鳴嶼主任って、ガル子さんと付き合ってるんですか?」
    「ハハハ、まさか。友人だ。幼馴染なんだ。」


    部署は違うが、たまに休憩室で会えば談笑くらいはしていた。
    それを見た社員に仲を聞かれたこともあったが、否定した。
    私達は、恋人とは違う、別の次元で繋がる大切な友なのだ。だが、あえてそこは深くは言わない。今までそれを理解してくれる恋人は中々居なかったからだ。
    男女というだけで、そういった目で見られてしまう。

    今思えば、それはモブ澤だって例外であるはずがないのに、何故かそれに気づけなかった。

     同じ職場で毎日顔を合わせていても、お互いに忙しくなり食事に行ったり、飲んだり、彼女が家にふらりと部屋に来ることも無くなっていた。
    きっとプライベートでは、モブ澤と幸せにやっているんだろう。
    何かあれば相談してくる彼女が何も言わないのは幸せな証拠。

    少しの寂しさはあったが、友が幸せならばそれでいいと思っていた。

    だが、ある週末の雨が酷い夜。

    ガル子が急に連絡もせず、部屋を訪ねてきた。

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  • 9536. 匿名 2024/04/30(火) 08:15:19 

    >>9463
    幼馴染み(社会人)になって雨の夜に連絡せず急に訪れたいーーー!₊˚‧(๑;¤̴̶̷̤́д¤̴̶̷̤̀)·˚₊'`ァ,、ァ
    たいていのことがちゃんとやれそうなのに、自分のことに関してちょっと鈍くなっちゃう悲鳴嶼主任が好き♡

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  • 9547. 匿名 2024/04/30(火) 08:57:49 

    >>9463
    展開にすごくハラハラドキドキします(˶ฅωฅ˵)♡
    楽しみにしてます!

    +19

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  • 12116. 匿名 2024/05/05(日) 08:53:46 

    >>9463
    仮初の友よサヨウナラ

    どうしたんだ?こんな夜に、何かあったのか?連絡をしてくれたら、迎えに行ったのに。 幾つかの私の問いかけにはっきりと答えず彼女はいつも座る場所に座って、買ってきたというお酒をグラスに注いだ。

    いつも明るく、元気な彼女が塞ぎ込んだ姿はあまり見た事が無い。
    答えたく無いのだろうと察して、二人で黙ってお酒を飲みながら、気紛れにつけていたテレビの画面を見つめる。

    「モブ澤と何かあったのか?」

    ────────────


    彼女は急な鋭い問い掛けに、口元に運ぼうとしたグラスの手を止めた。

    「プロポーズされたんだ。」

    何故かすぐに言葉が出てこなくなって、慌てて「そうか。おめでとう。良かったな。」
    と告げた。

    「悲鳴嶼とこうやって二人で会うのはもう最後になると思う。」


    男女の友情は難しいのは、今まで二人で重ねた時間の中で幾度も経験したことだった。
    自分達は健全だと言っても周りはそうは理解しない。彼女は何も言わないが、きっとモブ澤だってそうだ。
    何か言われたのかもしれないのは、いつもと様子が違う彼女を見ても明白だった。
    モブ澤は何も悪くない。あれだけ彼女を愛しているのだから無理もない。

    「仕方ない。形を変えるかもしれないが、君はずっと友人だし何か困ったことがあればいつだって力になる。何も二人で会う事だけが友情ではないし、何よりモブ澤と君が幸せでいてくれたらそれが一番だ。」

    こういう時がいつか来るのは分かっていた。
    何より彼女に幸せになって欲しくて、彼を紹介したのは私だ。なのに少しだけ動揺していた。

    「そうだね。」

    再びグラスを口に運んだ彼女の瞳が揺らぐ。
    口にグラスを運ぶペースが早い。
    彼女は酒に弱いほうではないが…

    少し、雨が落ち着いたら送っていこう。そういえば、以前、部下の女性が結婚前に少し不安定になっている時期があった。
    マリッジブルーというものらしい。


    彼女もきっと永遠を誓う愛を前に、少しだけ
    戸惑ったり不安になったりしているのかもしれない。


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