-
9219. 匿名 2024/04/29(月) 17:51:49
>>8581 スイーツの粂野さん🍰③
店内に入ると沢山の絵が飾ってある広いギャラリーが目に入る
その周りを本や雑貨の売り場がぐるりと並ぶ
「そうだ、キメ的5月号、市松模様のコスメポーチが付録なんだよね、買っていこうかな」
そう言って周りを見渡すが、あれ、雑誌が無い、待ってコミックも文庫も無い?
キョロキョロするガル子を見て「ここの蔦屋書店はアート関係の書籍が中心で、雑談や漫画は置いてないみたいだよ」と粂野が言う
「そうなの?」
「さっきの吹き抜けも森美術館監修だしね、ショッピングと言うよりアート鑑賞に来たみたいな気分になるね」
へー、とガル子は返事をする、ねこぱんち、立ち読みしたかったのにな…
そう思いながらふと雑貨コーナーを見ると、フレグランスが目に入る
「あはは、見て粂野さん『力士』って香水があるよ」
「本当だこっちは黒皮だって、わ、本当に黒皮の香りがする」
2人はまたフレグランスを眺める
「ジェイセントか、ニッチな香りが沢山置いてあるね」
「あ、これ…」ガル子はラムネの香りを手に取る
熱い真夏の夜に染み渡るラムネの爽快感─ふわりと爽やかな甘い香りが広がる
「これ、友達に誕生日に買ってもらった事あるんだ、また買ってみようかな」
「そうなんだ、いいね」と粂野は頷いた
「レジ行ってくるね!」
ガル子はラムネの香りを両手で大事に抱えてレジに向かう
GINZA SIXを出てみゆき通りを歩き松屋通りを曲がるとすぐに粂野が行きたかった「マリアージュフレール」に着いた
「フランスの紅茶の老舗店なんだって、紅茶の知識は全然無いけど俺も行ってみたかったんだ」
「私も紅茶はキメトンのティーバックくらいしか…」
土器土器しながら2人でお店に入る
ゆったりした優雅なホテルの様な雰囲気の中、2人は窓側の席に通される
「ここのケーキも美味しそうだから、ガル子ちゃん喜ぶかなと思って」
ガラスケースに並べられているケーキは美しくてとても美味しそうで目が釘付けになる、しかし実はガル子はお腹がまだ空いていたのであった
(どうしよう、ケーキじゃ足りない…せめてスコーンだったらボリュームがあって少しはお腹が満足するかも)
ガル子はオペラと言う緑茶ベースのフレーバードティーとスコーンのセットを頼んだ
スコーンとお茶が運ばれてくる、オペラを一口飲むと緑茶の味の中にほのかにフルーティーな香りが広がる、優雅なティータイムにガル子はうっとりした
(そう言えばスコーンって、フォークとナイフでどうやって食べるんだろう)
ガル子はハッとする、試しにナイフで切って見るがぼろぼろと崩れる、フォークでも掴みづらい
(手で…手で掴んじゃう?でもこんな優雅なお店で手で食べてる人いる?そう言えば斜め前のマダムがスコーンを頼んでいたはず、どうやって食べているか参考に…、しまった!もう食べ終わっている)
頭の中でぐるぐるしながらスコーンと戦っていると
「スコーン美味そうだね」
と粂野がニコッと笑う
「そ、そう?」
「ガル子ちゃん俺の抹茶ケーキと交換しない、おれ一口食べちゃったけど」
「え、うん、いいよ?」
ガル子は内心(助かった〜)と思いながら抹茶のタルトレットを受け取りスコーンを粂野に渡す
「わあ、これバタースカッチが入っているんだね、抹茶のムースと合うー美味しー」
ケーキを頬張るガル子を見て粂野はニコニコするのだった
📸食べ辛いけど美味しかったスコーンと抹茶のタルトレット、オペラ🫖です+27
-5
-
9222. 匿名 2024/04/29(月) 17:58:13
>>9219
わぁー!優雅なティータイム🫖✨こちらまで食べさせてもらったような気分でウキウキしてます🍰✨+18
-2
-
9269. 匿名 2024/04/29(月) 20:13:17
>>9219
粂野さんとアーバンでオシャンなデート素敵だなぁ♡
時々戸惑ってるガル子ちゃんが可愛いです+19
-3
-
9276. 匿名 2024/04/29(月) 20:26:59
>>9219
スコーンから香ばしい香りと粂野さんの優しい気遣いを感じます…!
毎回オシャレで続きが楽しみです(*^^*)♡+21
-4
-
9613. 匿名 2024/04/30(火) 14:00:45
>>9219
🐢
じっくり読んでてやっと追いついた
粂野さんとの銀座デート✨
フエギア、蔦屋、マリアージュと素敵なところが次々に出てきてワクワクします
スコーンの食べ方に悩むがる子ちゃんにも親近感が湧いて可愛い
続きも楽しみにしています+19
-4
-
9672. 匿名 2024/04/30(火) 16:58:44
>>9219 スイーツの粂野さん🍰銀座で初めての○○編④
2人はマリアージュフレールを出て東銀座方面に晴海通りを何となく歩く、歌舞伎座がほんのり夕暮れ色に染まっている
「この後どうしよっか」
「うーん、かちどき橋の方に美味しいワインバルがあるから、そこまでちょっと歩く?」
「良いね、少し散歩したい」
そう言ってガル子は手に持っているジェイセントの紙袋を見る
「良い買い物も出来たし、今日は楽しいー♪」
「うん、ガル子ちゃんにはこの香りの方が似合うね」
「うん、ありがとう」
そう言って粂野の顔を見るが、ふとある言葉が引っかかった
(─ガル子ちゃんには?)
粂野が何気なく発した言葉がガル子の胸をチクリと刺した
その時着物姿の髪をアップにした美しい女性と通りすがる、ふわりと良い香りがした
フエギアで香った月下美人の香りをふと思い出す、ジャスミンのエレガントでアロマティックな香り
ガル子の頭にふとある言葉が浮かぶ
「ねえ、粂野さん」
「ん?」
粂野はガル子の顔を覗き込む
言ってはいけないと分かりつつ、ガル子は口に出してしまう
「あの香水…誰か他の女の人が付けていた香水だったりする?」
夕暮れの銀座は少しずつ景色が変わって来る、着物姿の女性が忙しそうにパタパタと歩く、ネオンがポツポツと点灯し始めていた
「いや…そんな事は」
粂野が珍しく動揺している、ガル子は確信した、頭に浮かんだ言葉が口に出てしまう
「…元カノ?」
「えっ」
街の喧騒でガル子の言葉は聞き取れなかったらしい
「今日はもう帰るね」とガル子は俯きながら、呟くと「えっ、帰るの?」と粂野は驚いた
「ガル子ちゃん、何だか誤解させたみたいだけど、違うんだ」
粂野の言葉にもガル子は黙っている
2人は地下鉄の入り口の前で向かい合う
「俺は実家に寄ってくから、歩いて行くよ、じゃあね…?」
ガル子は頭の中がぐちゃぐちゃになっていた
(今まで粂野さんの前の彼女の事とか気にした事無かったのに)香水の香りが元カノの存在をリアルにさせたのかもしれない
「ガル子ちゃん、大丈夫?」
黙っているガル子に話しかける
「この香水」
ガル子は手に持った紙袋を差し出して粂野の顔をキッと見る
「以前、元カレに買ってもらった香水なの」
「…っ!」
粂野は下唇を噛み、顔を背けた
ガル子もプイッと顔を逸らす
胸がチクッとするが、ぐちゃぐちゃした感情は拭えない、何も言わずにメトロの階段を降りて行く、その後ろ姿を粂野はずっと見送った+24
-8
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する