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8697. 匿名 2024/04/28(日) 17:44:46
>>482
【お題】
観覧車🎡✨️+26
-3
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9045. 匿名 2024/04/29(月) 00:39:18
>>8697観覧車🪓⚠️
がたんと大きく音を立ててゆっくりとゴンドラが動き出す。
3回目のデートで二人きりになれる観覧車に乗るなんて……。これはもうアレですよねぇ、と一人にやつく。てっぺんでキスするフラグが立ちまくってるじゃないですか。
いや、乗ろうって誘ったのは私なんだけど。それに――とちらりと彼を見ると、前屈みになって俯いている。ただでさえ気難しい顔が顰められて、ちょっと怖いくらいだ。
「……ね、どうしたの?」
恐る恐る尋ねると「別に」とそっけない言葉が返って来た。いやいや。どう見たって「別に」って顔じゃない。
何よ、せっかくのデートなのに。だんだん腹が立ってきた私は彼の顔を覗き込む。
「ねぇ、何で機嫌悪いの?」
彼は「はぁー」と深くため息を吐いた後、諦めたように言った。
「……苦手なんだよ、高いとこ」
「…………え?」
……苦手?……高いとこ?
「え――――っ!」
「うるせー」
「やだ!早く言ってよ!っていうか乗る前に言いなよね!?もーどうすんの!」
おろおろとスマホを取り出す。観覧車はまだ動き始めたばかり。この観覧車は確か一周10分強だったはず。
「……ということはまだあと8分半はあるのか」
「絶望的な事言うなよ、オイ」
「いや、事実は明確しておいた方がいいかと思って」
彼が青い顔をして苦笑いするので、いよいよ心配になって来る。
「あっそうだ」
私は羽織っていシャツを脱ぐと彼の頭からふわりとかけた。
「外、見えなきゃ少しはマシじゃない?」
顔を覗き込んでそう囁く。彼はびっくりしたみたいに瞬きを繰り返して、ふっと目を細めた。
「……ん、そうだな」
ほっと胸を撫でおろしたところで、彼がこちらに手を伸ばしてくる。
「……どうしたの?」
首傾げる私の肩を掴んで軽く引き寄せると、そっと唇を重ねた。あっという間の出来事に全然頭が追いつかなくて、ぽかんと彼を見つめる。
ようやく状況を理解すると、途端に恥ずかしくなってたまらず目を伏せた。
「……こんなことする余裕あるの」
「おかげさまで」と笑った顔はさっきほど青くない。
「もうっ…、あっ、ねぇもうすぐてっぺんだよ」
「……言うなよなぁ」
げんなりした顔で呟く彼に声を立てて笑う。彼も少し笑って「じゃあ」と囁きながら顔を寄せた。
「てっぺんについたらもう一回」
甘えるみたいな声が可愛くて、自然と口元が緩む。でも可愛いなんて言ったら絶対怒るだろうなぁ。
そんなことを考えながら、目を閉じでてっぺんを待つ。
おわり+29
-8
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