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8578. 匿名 2024/04/28(日) 09:57:02
>>6796
🍉[あの雲が消えたら]
3話
その日、私が外のベンチでお弁当を食べていると不死川さんがひょっこり現れた。
「ガル山さん、お疲れ様です!今日は外で食べるには良い天気ですよね」
「本当、気分が上がりますね」
「隣座ってもいいですか?」
「はい、どうぞ」
不死川さんは自販機で買ったらしき、葡萄スカッシュの蓋をあけた。炭酸のプシュッという音が少し耳に心地よい。ごくごくと飲んで小さく息を吐いた。
「それ、美味しいんですか?」
「あー、たまに飲みたくなりません⁈こういうの」
「たまになら、いいかも。こんな晴れてる日には」
不死川さんの横顔を見て、おでこの形が綺麗だなと見惚れてしまった。少しだけ焼けた肌が健康的だ。
「あ、あの雲、寝そべってる猫に見えません?ガル山さん!」
「えっ、あぁー、あの辺ですか?」
「そうです!」
休憩が終わるまで、その雲の形が変わる様を2人で見守っていた。だんだんと猫が崩れて他の雲に溶けていった。
「今夜は歓迎会なんで、午後の仕事はスピード勝負っすね!俺も手伝うんで頑張りましょう」
歓迎会でも、不死川さんの隣に座るのだろうか?先程より少し厚くなった雲を眺めながら、まず一杯目はレモンサワーかな、などと考えた。卵焼きも食べたい…いやいや、その前に仕事、仕事。
続く⛅️+27
-6
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8588. 匿名 2024/04/28(日) 10:31:24
>>8578
彼とのんびり空を眺めるランチタイムいいなぁ…️️️⛅️
癒される+17
-0
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8603. 匿名 2024/04/28(日) 11:41:43
>>8578
こんな先輩のいる職場いいなぁ─⛅🍉+19
-4
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10503. 匿名 2024/05/01(水) 23:50:16
>>8578
🍉[あの雲が消えたら]
4話
歓迎会のことばかり考えていたからだろうか。盛大にミスをしてしまった。取引先へも迷惑を掛けてしまい、不死川さんが先方へ謝罪してくれた。
「すみません……」
「社内だけの事だったら全然どうにでもなるんですけど、今回のはお客さん絡んでるんでこれから気をつけてくださいね」
不死川さんは真剣な眼差しでそう言った。いつも笑顔で「大丈夫っすよ!」と言ってくれる時とは違い、胸がずしんと重くなった。ちょっと浮かれすぎていたな、と反省する。気を引き締めなきゃ。こんなんじゃ、呆れられちゃうぞ。
定時を15分位すぎて、今日やらなければならない作業が終わった。
「それじゃあガル山さん、歓迎会の会場に向かいましょう!」
「は、はい!」
会社の外に出るとまだ空は明るかった。今日は雲が厚く、空気も湿っている。猫の形の雲も見つかりそうにはない。
居酒屋に着くと、真ん中の席に座るように言われた。不死川さんは幹事をやってくれているので、入り口に近い席らしい。ちょっと、寂しさと、今日のミスへの申し訳なさとで、真ん中の席は居心地が悪い気がした。
「それじゃあガル山さん、一緒に頑張りましょう!かんぱーーーい!!」皆が一斉にグラスを合わせる音が響いた。
「ガル山さん、卵焼きもあるんで食べてくださいね!好きっすよね?」
斜め向かい側から不死川さんが叫んだ。
すると「さっすが指導係!好きな食べ物まで知ってるんだね」と隣のモブ田さんが返した。
「ガル山さんのお弁当、卵焼きがいつもすげぇ美味そうなんですよ!」
こうして気にかけて話題を振ってくれることがとても嬉しかった。かと言って騒ぐわけでもなく、他の人の話もよく聞いていて、不死川さんが仕事の出来る人として一目置かれている理由が分かる気がする。
続く🌧️+28
-12
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