ガールズちゃんねる
  • 7651. 匿名 2024/04/25(木) 23:19:52 

    >>7238

    仮初の友よサヨウナラ

    職場の年齢が近い奴らと飲みに行くと決まって
    彼女が欲しい、誰かいい子いない?といった流れになる。20代半ば過ぎの男達の会話だから、まあ健全といえば健全だろう。
    社内に沢山女性社員は居るのだが、社内恋愛をしたくない者は外に出会いを求める。

    「悲鳴嶼。誰かいい子居ない?俺、こっちに女の子の知り合いが居なくてさ。」

    「知り合いか…居ないこともない。」

    真っ先にガル子の顔が浮かんだ。

    モブ澤は同期入社で大学のゼミも一緒だった。性格も良いし、知る限り女性にも誠実な男だ。

    つい数ヶ月前、大学時代から付き合っていた遠距離の彼女と別れ、暫く落ち込んでいた彼を、幾度か飲みに誘い慰め、話を聞いた。

    「やっぱさ、失恋を癒すのは新しい恋だろ?」

    「運命の相手を探している友人が居るんだが、会ってみるか?」

    勿論!いつが都合がいいんだ、俺はいつでも合わせるから!とモブ澤の目が輝く。
    とりあえず、友人に聞いてみると伝えて、都合が良い日を幾つか確認した。

    翌日、ガル子から来た別件のLINEにモブ澤の件を伝えるとすぐに着信があった。

    「どんな人?悲鳴嶼の大学の友達なら間違いないよね。でも、今までそういうの紹介してくれた事なんかなかったのにどういう風の吹きまわし?。」

    「あまりにも君が運命の相手に出会えないから気の毒になってな。私もそろそろ恋愛がしたいし、君が先に幸せになってくれないと気が引ける。」

    「ふふふ、何、それ。何かお父さんみたい」

    「ああ、家族より君の方が私の事には詳しいかもしれないな。迷惑な話だ。」

    「じゃあ、私も誰か紹介した方がいい?悲鳴嶼に。」

    「いや、私は自分で見つけるから結構だ。」

    「了解!じゃあおやすみなさい。」

    もしかしたら、いや間違いなく、彼女はきっとモブ澤と付き合う事になるだろう。
    長く友達だったからわかる。
    良かったな、やっと幸せになってくれる。

    誰かと幸せになって欲しい。

           ──────否、私が幸せにしたい。

    ふと込み上げた意図せぬ感情に、ああ、大概に私も疲れているなと目を瞑った。

    +33

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  • 7660. 匿名 2024/04/25(木) 23:36:04 

    >>7651
    自分から紹介しちゃうの!?ばかーっ!!絶対後悔するぞ…!
    ああハラハラする:(((´ᯅ`))): 引き込まれています!

    +20

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  • 7681. 匿名 2024/04/25(木) 23:54:12 

    >>7651
    親友だもんね、でも…
    こういうのすっごく好きです。

    +16

    -2

  • 7840. 匿名 2024/04/26(金) 13:22:02 

    >>7651

    仮初の友よサヨウナラ

    こちらが予想した通り、モブ澤はガル子を一目で気に入った。

    紹介者だからと、最初の顔合わせに付き合った時、ガル子を見た瞬間にモブ澤の目の中に漫画でしか見た事がない様なハートが見えた気がした。

    じゃあ、あとは二人でとその場から去る際に少し誇らしい気持ちになった気がした。
    幼き頃からの親友はやはり素敵な女性で、性格も良いのだからモブ澤が気に入らない訳がない。
    幼き日、自分に自己肯定感を植え付けてくれた彼女が、最近付き合った男性と立て続けに上手くいかず、自信を失っていたのがもどかしかった。
    モブ澤ならきっと彼女を幸せに大切にしてくれるだろうと期待した。

    少し寂しい気がするのも、自分に恋人がいないからだろう。
    ガル子は知らないが、たまに食事をする相手や体を重ねる相手は何人かいる。

    お互い割り切っているから、後腐れはなく楽なのだが、やはり少し寂しく思う。

    新入社員の時代から、必死に仕事をして同期の中で誰よりも先に昇進し、そろそろ恋愛をしたいと思うのは自然じゃないだろうか。

    だが、自分が本気で異性を好きになるイメージが沸かない。
    何より、自分とガル子との友情を理解してくれる女性じゃないといけないとなると難しい。
    やはり、自分はまだ一人でいいのかも知れないと自問自答をして答えはでなかった。

    ────────────

    ガル子とモブ澤が付き合う事になって、数ヶ月経った頃だった。
    仕事帰りにガル子から話があるから飲みにいかないかと連絡を受けた。モブ澤も誘うように告げたが、何故か渋る。

    ああ、そろそろ喧嘩くらいする時期かもしれない。

    二人には上手くいって欲しいから、相談なら乗ってやりたいと思った。

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