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7568. 匿名 2024/04/25(木) 22:00:46
>>6746趣味全振り 3話目
⚠解釈違い⚠💎※見切り発車※長文です
※何でも許せる方向け※話が進む中で🐚予定
「えー!もしかして二人共知り合い!?」
モブ美がビックリしたように私達を交互に眺めた。
「いや、あのね…」
私は元カレの話をモブ美にした事がない。思い出すのも嫌になるくらい手痛い別れだったからだ。
(──どうしよう、なんて説明すれば…)
困惑した私を見て、元カレが先に口を開いた。
「俺達大学時代の同級生なんだ。しかも会うの数年ぶりだからさ。元気だったか?」
明るい笑顔で話しかけてくる元カレ。
「─────元気よ」
私は一言を返すのがやっとだった。動揺を抑えなきゃと拳を強く握りしめた。
「そうか、良かったよ。卒業してから会ってなかったし。どうしてんのかな~と思ってた」
白々しい態度に腹が立った。かなりモテていた彼は、大学卒業後も私の他に何人かと同時進行で付き合っていた。嫉妬でケンカもしたし泣いたことも数えられない。結局「重てえんだよ、もう」と冷たく言われ、一方的に別れを告げられた。さらに音信不通。
「まぁ二人共座ってよ。再会を祝って、俺が奢るからさ」
モブ美が喜んでカウンター席に座る。本音を言えば今すぐ帰りたい。でも険悪な態度を取るのも大人げない気がした。あれから数年経ち、今は私を大切にしてくれる彼氏もいる。
(───そうよ、もう終わった話なんだから)
とりあえずモブ美もいるのだ。世間話だけして帰ればいい。そしたら今後、二度とお店に近寄らなければいい。そう思い直し、私も座った。
元カレは平然とした顔で手際よくお酒を作っている。動揺する素振りは微塵もみられない。
(何なのよ、その落ち着き!!)
別れた後いつの間にかバーテンダーになって、さらにお店を構える程になっていたなんて正直驚きだった。
(自分はもうあの時とは違う。堂々としなきゃ)
私は背すじを伸ばし、気合いを入れた。
つづく
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7574. 匿名 2024/04/25(木) 22:08:38
>>7568
ああ😭手痛い別れは好物だけどやっぱり心臓が痛い…でもそれがいい
続き楽しみにしてます!+21
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7582. 匿名 2024/04/25(木) 22:15:19
>>7568趣味全振り 4話目
⚠解釈違い⚠💎※見切り発車※長文です
※何でも許せる方向け※話が進む中で🐚予定
「ところでさ、大学時代は天元さんと仲良かったの?」
モブ美が意味ありげに微笑み、思わずお酒を噴き出しそうになった。元カレはそこで明るく否定した。
「いや、ホントにただの友達だよ。サークル仲間で飲みに行ったよな?あの頃がホント懐かしいよ」
「……」
懐かしい訳がない。サークルそっちのけで遊んでばっかりだったクセに、と心の中で毒づいた。
饒舌に話す元カレに対し、モブ美は興味深そうに頷きながら聞いている。こっちは話の内容に終始ヒヤヒヤする。うかつに当時の私達の事を話されたら困るからだ。元カレだったなんてモブ美には知られたくない。
「モブ美さん、もう一杯どう?ほら、そっちもグラス空いてるけど何か───」
元カレが私に笑顔で尋ねてくるが、無表情で返す。
「ウーロン茶でいい」
「またかよ。せっかく俺が奢るって言ってんだ。なんか頼めよ。こう見えて、店出す前にあちこちで修行したんだからさ」
「───じゃあ、モスコミュール」
すると元カレが柔らかく微笑んだ。
「相変わらず好きなんだな、これ。変わってねえなホント」
不意に優しげに言われ、一瞬胸がギュッとなる。懐かしさが込み上げてくるのをどうにか抑える。
(…あっぶない。心を許すな、重たいんだよって言った時の冷たい顔!それが本性なんだから)
そう思いながら出されたモスコミュールに口を付ける。居酒屋で飲むよりも甘さが控えめてピリッとした辛みがある。加えて爽やかだ。
「あ、美味しい」
「定番だけど、ジンジャーの擦り下ろしを入れてるから後味がピリッときて美味いだろ」
「…ちゃんと真面目にバーテンダーやってるんだ」
「そうだよ。少しは心を入れ替えてね」
私への当てつけか、わずかに言葉を強調した。
するとモブ美が口を挟んできた。
「えー、昔はどうだったの?すっごくモテたでしょ。泣いた女の子たくさんいそう」
モブ美の言葉にもう一度噴き出しそうになる。
(…いるよ、ここに。私はきっと泣いた女の子の一人だろうけど)
私は元カレの顔を見る事が出来ず、再びお酒に口を付けた。
つづく
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