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7275. 匿名 2024/04/24(水) 23:32:11
>>7260 罪 ⚠️解釈🌊 ⚠️暗い ⚠️なんでも許せる方
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でもある時に悟った。俺が鬼殺をやっているのは、こんな自分を守るために死んでいった姉や親友をせめて弔うためで、今の俺に許されるのは、来る日も来る日も日輪刀を握り鬼の頸を斬る事のみなのだと。
幸せな夢を見るのは、目が覚めた後の残酷を味わうための、俺に与えられた罰なのだ。
わかっているんだ
生き残ったことが罪なのだと
はっきり言われたほうがどれだけましか
何故弱いお前が生きているのかと
責められたほうがどれだけ楽か
何故自分はこれほど弱いのか
「何故お前が生きている?」
ある夜に奇妙な鬼と対峙した時、自分自身がずっと知りたかった事を問われた。
「可哀想に。お前のせいで、死ななくてもいい人間が死んだ」
そうだ
「全部、弱いお前が悪い」
その通りだ
「可哀想で弱いお前に、良い夢を見せてやろうか」
俺は弱い
「とても幸せな夢だ。辛いんだろう?」
幸せな、夢
「お前には、両親と姉…それと、───親友が生き返った夢を見せてやろうか」
いいのだろうか、俺なんかがそんな幸せな夢を見て
だって都合が良過ぎるだろう
弱い俺を守った強い人達は
戻ってくることは出来ないのに
守られてばかりの俺が
そんな夢を見る資格があるだろうか
「お前は、本当は自分だけ助かって良かったと思っているな?」
違う
「では何故、お前には術が効かない?」
痛い
「お前には先刻会った時から既に親友が生き返る幸せな夢を何度も見せてやってるのに、何故お前はその夢を自分で強制終了している?」
首が、痛い
「教えてやろうか。お前は、今自分でそうしているように夢の中でも自分の頸を斬っている。夢を見せた途端に何度も」
刃が皮膚に食い込んで
「なぜなら、お前は」
首が、焼けるように痛い
「夢の中でさえ死んだ者が生き返るのが煩わしいと思っている可哀想で狡くて弱い人間だからだ」
生ぬるいものが、首筋を伝い羽織に染み込んだ。錆兎と姉の着物を縫い合わせた二人の形見にじわじわと広がる染みが、錆兎のいつかの言葉を思い出させた。
"いつかこの怒りが、仇を討つ原動力に───"+39
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7284. 匿名 2024/04/24(水) 23:46:43
>>7275 罪 ⚠️解釈🌊 ⚠️暗い ⚠️なんでも許せる方
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ああそうだ
何故忘れていたのだろう
俺はずっと頭に来ていたんだ
理不尽に姉と親友を奪われて
ずっと続くはずだった平穏な日々を奪われて
悔しくて悔しくて
心底頭に来ていたはずなのに
いつの間にかあの幸せな夢が
俺を弱い人間にしていたんだ
自分の首に深く食い込んだ日輪刀を悪鬼に向けた。
どくどくと血液が流れ出る傷口が、俺に痛みを教えてくれた。
俺は 生きている
思い出したよ、錆兎
俺が鬼殺をやっているのは
罰や罪ではなく
仇を討つためだって
怒れ もっと
この怒りを原動力にして
許すな 人の幸せを奪う悪鬼を
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しんしんと雪が降る日、おぼつかない足跡と血の痕を山の中でみつけた。
───間に合わないかもしれない。
それでも、もう逃げないと決めたから。
錆兎と約束したから。
だから行かなきゃ、たとえそれが茨の道でも。
耳飾りの少年
お前はいま家族を殺されて
妹を鬼にされて悔しいだろう
そうだ 怒れ もっと
その怒りがお前を動かす原動力となる
そしていつか必ずその手で
幸せを取り戻すんだ
「幸せな夢」 / 終+39
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