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7260. 匿名 2024/04/24(水) 23:19:43
>>7252 罪 ⚠️解釈🌊 ⚠️暗い ⚠️なんでも許せる方
2
初めて見る異形の、なんともいえぬおぞましさに足がすくんだ。
姉の命を奪った仇を取るために鍛錬してきたはずなのに、ほんの少し、自分の中の弱さが出てしまった。その弱さのせいで、錆兎を失った。
大切な人を失くした時の、あの足元からがらがらと音を立てて崩れ落ちる感覚が再び俺を襲った。
もうやめてくれ
もうこれ以上俺から何も取り上げないでくれ
頼むから
大切な人たちを奪わないでくれ
錆兎がいなくなって、俺は泣く場所さえ失くした。
毎晩見る幸せな夢に、錆兎も出てくるようになった。
夏の暑い日に先生に内緒で二人で水浴びをしたこと。冬の寒い日には鼻を真っ赤にしながら一緒に雪だるまを作ったこと。一緒に先生のお面作りを手伝ったこと。
錆兎との楽しかった思い出がすべて夢となり、俺の頭の中を支配した。
その思い出があまりにも幸せで綺麗で、それ故に目が覚めた後に錆兎がもう隣にいない現実に向き合うことが辛かった。
目を瞑れば家族や錆兎が「義勇」と笑顔で呼び、目が覚めればもうこの世にはいない悲しみと絶望に打ちひしがれ、夜は鬼殺で見たくもない光景を目の当たりにする。
親友を失くし泣く事さえ許されず、鬼に襲われた人間も満足に助けられず、斬った鬼の数だけで柱と呼ばれ、自分は何のために鬼殺をやっているのかわからなくなる事もあった。
+39
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7274. 匿名 2024/04/24(水) 23:31:38
>>7260
⚠️🌊
義勇さんの心の闇…続き楽しみです。+26
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7275. 匿名 2024/04/24(水) 23:32:11
>>7260 罪 ⚠️解釈🌊 ⚠️暗い ⚠️なんでも許せる方
3
でもある時に悟った。俺が鬼殺をやっているのは、こんな自分を守るために死んでいった姉や親友をせめて弔うためで、今の俺に許されるのは、来る日も来る日も日輪刀を握り鬼の頸を斬る事のみなのだと。
幸せな夢を見るのは、目が覚めた後の残酷を味わうための、俺に与えられた罰なのだ。
わかっているんだ
生き残ったことが罪なのだと
はっきり言われたほうがどれだけましか
何故弱いお前が生きているのかと
責められたほうがどれだけ楽か
何故自分はこれほど弱いのか
「何故お前が生きている?」
ある夜に奇妙な鬼と対峙した時、自分自身がずっと知りたかった事を問われた。
「可哀想に。お前のせいで、死ななくてもいい人間が死んだ」
そうだ
「全部、弱いお前が悪い」
その通りだ
「可哀想で弱いお前に、良い夢を見せてやろうか」
俺は弱い
「とても幸せな夢だ。辛いんだろう?」
幸せな、夢
「お前には、両親と姉…それと、───親友が生き返った夢を見せてやろうか」
いいのだろうか、俺なんかがそんな幸せな夢を見て
だって都合が良過ぎるだろう
弱い俺を守った強い人達は
戻ってくることは出来ないのに
守られてばかりの俺が
そんな夢を見る資格があるだろうか
「お前は、本当は自分だけ助かって良かったと思っているな?」
違う
「では何故、お前には術が効かない?」
痛い
「お前には先刻会った時から既に親友が生き返る幸せな夢を何度も見せてやってるのに、何故お前はその夢を自分で強制終了している?」
首が、痛い
「教えてやろうか。お前は、今自分でそうしているように夢の中でも自分の頸を斬っている。夢を見せた途端に何度も」
刃が皮膚に食い込んで
「なぜなら、お前は」
首が、焼けるように痛い
「夢の中でさえ死んだ者が生き返るのが煩わしいと思っている可哀想で狡くて弱い人間だからだ」
生ぬるいものが、首筋を伝い羽織に染み込んだ。錆兎と姉の着物を縫い合わせた二人の形見にじわじわと広がる染みが、錆兎のいつかの言葉を思い出させた。
"いつかこの怒りが、仇を討つ原動力に───"+39
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