-
4905. 匿名 2024/04/20(土) 22:50:22
>>552 『お花見』
桜の季節は短い。
1ヶ月とは言わないが、もう2週間くらい長ければ話は変わって来るのにといつも思う。
「がる子ちゃーん!食べてるかーい?」
少し離れた彼へ縦に首を振る。
大抵こういった場では頼まずとも男性陣が張り切ってくれるので不思議だといつも思う。
焼け焼け善逸!と急かすのはモブ男だ。ビールひと缶で酔えるのだから燃費が良い。
善逸はお肉ちゃん食べてるかな。紙皿の上のおにぎりだってまだ手がついていないように見える。
桜の季節なのに寒い。花見の度に思っているような気がする。
それでもこの週末しかない。それはきっとみんな同じだ。
このペースだときっと私は食べ切れない。善逸の隣へ行って分け合うみたいに…いや、男性陣に割って入れる雰囲気じゃないし…
自分の紙皿を持つ手が冷たい。どうしよう、一回飲み物でも買いに…近くに自販機なんてあったかな。
「がる子ちゃあああーん!ギブ!変わってえぇ!」
手招きされるまま彼の隣で火箸を受け取る。
炭の目の前にして頬が火照るように感じる。火の近くはこんなにも温かいのかと驚く。
ずっと焼き続けた善逸は熱かっただろうな。ごめん。もっと早く気づけば良かったのに。
「火の粉が飛ぶから気をつけてね」
「わかった。焼くから善逸食べてていいよ」
「ごめん、寒かったね。手真っ赤」「え」
「暑くなったらまた変わるからね」
善逸はなぜかいつも気づく。
おわり
+26
-5
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する