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3931. 匿名 2024/04/18(木) 23:58:49
>>572 キメダンDE文学
『手紙』🔥
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ガル子
こんな文もいく月ぶりであるか。
何をあたり前のことを、とわらっておゆるし願いたい。
さて、お体は変わりないだろうか。隠とはうまくやれているか。
心配は尽きない。しかし、俺はガル子を信じている。
どうも俺の言の葉は陳腐に思う。この詩を贈りたい。
今の頃より異なるが、ガル子の元へ通った季節の思い出だ。
またたち返る 水無月の
嘆きを誰に かたるべき
沙羅の瑞枝に 花咲けば
悲しい人の 目ぞみゆる
留守はまかせた 杏寿郎
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相聞/芥川龍之介
(書かれたのは大正ですが、世に出たのは昭和のようです)
続く+26
-5
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6604. 匿名 2024/04/23(火) 21:36:13
>>3931
続き『手紙』🔥
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ガル子
これもまたいく月ぶりか思い出した。
俺はガル子の字が好きだ。
恋仲であったころより、一等美しく思えるのは俺の心のせいだけであろうか。
小野小町は美人で有名であったらしい。
それはきっと容貌だけの評判ではあるまい。
ガル子は美しいひとだ。今日も美しい。
離れていてもわかることだ。
いとせめて こひしき時は むたばたまの
夜の衣を かへしてぞきる
夜には香を 杏寿郎
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古今集より/小野小町
続く+35
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