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3525. 匿名 2024/04/17(水) 23:11:48
>>2787⚠️解釈違い🌊⚠️なんでも許せる方
『寄り道、裏道、まわり道』
④
今日も、2つ隣の席に冨岡くんがいる。なんだかやるべきことが進まない。
──そうだ、私も折ってみよう。ターゲッ◯。足りない頭も少しはマシになるかも知れない。
そんなことを考えていて、いつのまにか背後に冨岡くんがいたことに気付かなかった。
「今日はやたらと紙が擦れる音がすると思った」
「やっぱり私も折ろうかなって。ターゲ◯ト」
「そうか」
「でもさー、ページ数多いから疲れてきた!ちょっと代わりに折っ…」
顔を斜めに上げたその時、背を屈めた冨岡くんの口唇が、私の口唇にそっと触れた。
驚いて目を見開いたままの私は、まつ毛が濃くて羨ましいなあ…なんて妙に冷静なことを考えていた。
「な、んで…」
「………」
その顔なんなのどういう気持ちなの。
「したい、と…思った」
「……そっ、か…」
「好きだ」
「──!!でも、、」
「でも?」
「今は、だって、好きとかそういうのに気を取られてる場合じゃ…」
「意味がないと思う」
「は?」
「結局気になるだろう。少なくとも俺はそうだ」
「そうなの、かな」
「……」
沈黙が胸の鼓動を増幅させる。
でも、恐くはない。それはむしろ安心を纏っているようで──
結局気になる。そうなのかも知れない。
「私も、好き」
もう一度、今度は私も目を閉じた。
つづく
(身に余るコメントを頂き嬉しいです。ありがとうございます。)+33
-5
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3531. 匿名 2024/04/17(水) 23:16:08
>>3525
あああー、もう胸キュン♡ヤバいです。+16
-1
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3625. 匿名 2024/04/18(木) 09:01:16
>>3525
キュンキュンがすごすぎる〜!つ、続き正座待機してます!+20
-3
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4301. 匿名 2024/04/19(金) 22:00:16
>>3525⚠️解釈違い🌊⚠️なんでも許せる方
『寄り道、裏道、まわり道』
⑤
それからの私達は、並ばなければ買えないいちご大福はしばらく封印して、勉学に励んだ。全部終わったら、一緒に食べる約束をして。
変わったことといえば、週に一度、自習室で最終下校まで勉強した帰り道は、必ず手を繋ぐようになったこと。
短い時間だけど、あの公園のベンチに座って二人の時間を過ごすようになったこと。
時々、どちらからともなく口唇を重ねるようになったこと。
そうして時は過ぎ、卒業を間近に控えた自由登校の日。もう用のないはずの自習室に、私達はいた。
「俺は、もう一年やってみようと思ってる」
「なんとなく、そう言うと思ってた。行かないんだね、私と同じ大学」
「…ごめん」
「謝ることないよ。当たり前のことだよ。ただ…」
「……待て、」
準備はしてた。言える。
こういう時、言う方がきっと辛いから。
だから、私が、言う。
「けじめは付けよう。私達は今、お互いに自分のことに集中した方が絶対いい」
「だからそれは意味がないと…」
「意味はあるよ。だって私達はもう学校の自習室には来ない。会う約束をしなければ会えない関係になる。気になる範囲にはいない」
冨岡くんの考えは想定していたから、それなりに覚悟を決めて今日ここに来た。シナリオ通りだ。なのに、ポロポロ溢れる涙が止められない。
もう会えない、会わない。ただの「元同級生」になる。これで良い。
これが、私にできる唯一の応援。
「だから…サヨナラしよう」
つづく+29
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