ガールズちゃんねる
  • 2643. 匿名 2024/04/16(火) 20:24:22 

    >>2582
    目を覚ますと、彼の顔が目の前にあった
    カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる
    私の部屋だ
    私はベッドで寝ていて、彼の頭だけが近くにのっていた
    私の手は彼の手を握っている
    「!!!?」
    とっさに飛び起き、彼を起こしてしまった

    「先輩…おはようございます」
    「おは…いや、私、ひめくん連れ込んじゃったの?!!」
    信じられない、恥ずかしくて布団を顔まで引っ張り上げる
    無意識で手を…手を…放さなかったんだろうか?彼の中のカッコいい先輩像とは程遠いに違いない
    「いや、待ってください。先輩にそんな邪な気持ちが無いのはわかっています。
    僕も何もしていません」
    わかるよ、それは!
    お互い明らかに昨日の服のそのままだ
    つか、どんだけ紳士なの、この子は〜
    「上がりこんでしまってすみませんでした。
    酔っていたので、、、
    ほうっておけなくて」
    シュンとしてうつむく彼を見て、やっと力が抜けた
    「優しすぎるでしょ〜〜…もう…」
    「…優しいのは先輩ですよ」
    彼は居住まいを正し、まっすぐこちらを見てきた
    「先輩はいつも温かい目で、気持ちで見てくれるから。
    …信じられないかもしれませんが、あの、僕の話を聞いてくれませんか?」
    「うん?」
    二日酔いの頭を一生懸命巡らせる 
    話?
    「僕は子どものころからやたら大きく、話すのも下手なせいか、小学生のころは周りから距離を置かれていました。
    それは伝わるんです。

    僕の周りの世界は透き通っている。
    感情のようなものが伝わってくるんです」

    「…えっ??」

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  • 2649. 匿名 2024/04/16(火) 20:30:33 

    >>2643
    あああ┣¨‡┣¨‡💗💕┣¨‡┣¨‡❤️💙┣¨‡┣¨‡💓💝┣¨‡┣¨‡🧡💜┣¨‡┣¨‡💖💞

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  • 2683. 匿名 2024/04/16(火) 21:00:16 

    >>2643
    「どういうこと?」
    「考えていることがわかるわけじゃなくて…喜怒哀楽というか…周りが、大きい僕を怖がっていると空気が青く感じるというか…」
    不思議な話に頭は混乱する
    けれど、自然と彼の話を疑う気持ちはなかった
    出会ってまだ間もないけどわかってる、彼はとても誠実な人だ…
    「僕はとても疑り深くなりました。
    友達の顔は笑っていても、空気は薄い青色なんです。
    僕を受け入れてくれる人はいるのか。
    さすがに大きくなるにつれ、周りの空気は変わってきました。
    周りも大人になりますから。
    でも僕は完全に心を開けなかった」
    ぶっきらぼうとも取れる声で、でも言葉を選び、丁寧に話す
    そうだ私は毎日、そんな真面目な彼が愛しくてしょうがないんだった…
    だけど
    「何で、私に話してくれたの?」
    彼は一瞬面食らったように目を丸くした
    「先輩は優しい。初めてこんなに綺麗な色を見たんです。陽射しのようなやわらかい橙色です。
    こんな話を聞いた今も」

    少し間を置いて、彼はまた意を決したように話し始めた
    「先輩の感情は、少し離れていても気づくようになりました。
    困っている時は黄色です。
    ふわっと感じるたび、僕はほうっておけなくなりました。
    気づくと貴方のそばに行っていました」
    そうだったんだ…確かに不思議だった
    何故困ってる時にタイミングよく、まるでスーパーマンのように助けてくれるのか

    「こんなこと言っても、僕のこと怖くない…」
    言葉を飲み込む

    「……んですね」
    彼が泣いている

    「私ね、あなたがすごく…魅力的なの。
    惹きつけられるの。わからないけど、私が好きになっていいのかわからないけど」
    「僕のこと、好きですか」
    ! つい、口走ってしまった
    「ごめん、私歳上過ぎるし、ちょっとひめくんには釣り合わないと思うんだけど、でも…」
    「失礼します」

    言葉を遮るように、彼の分厚い胸に引き寄せられた
    力強い腕の力とうって変わって、壊れ物を扱うように抱きすくめられる
    「ひめく…」
    耳元で彼がつぶやく
    「行冥、と呼んでもらってもいいですか。
    …俺からしたら、先輩の方がよっぽど「ひめ」ですよ」


    おわり

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