ガールズちゃんねる
  • 2582. 匿名 2024/04/16(火) 18:06:58 

    >>2406
    駅に出ると、暑さが若干和らぐ夜風が、飲みすぎた体に気持ちいい
    「ひめ!こいつ同じ方向だから一緒に乗ってってあげてよ」
    「ええっ?!」
    少し後ろにいた彼と目が合った
    「はい!」
    同期の無意識のアシストで、私はひめくんと2人、同じタクシーで帰ることになり面食らった
    酔いが回った私に代わり、同期が運転手さんにうちの住所を伝えている
    なに考えてんのアイツ、普通ここで男性社員に頼む??
    バレないようにそっと見上げると、いつものように落ち着いた彼だった
    まあ、彼だからか
    それだけ信頼されているんだよね
    それより私の方が問題だよ
    ぐるぐるする頭の中で、冷静さを保つためにひたすら唱えた
    私は先輩、私は先輩…

    後部座席に並んで座る
    彼の身体にタクシーは狭すぎて、どうしても触れてしまう左肩に意識が奪われ、クラクラした
    「さっきは大丈夫でしたか?」
    「ううん…何?」
    「ケガとかしてないかと思いまして…」
    気付かれてた!
    目の前がぐるっと回った
    かあっと顔が赤くなるのを感じて、振り切るように声を出した
    「大丈夫!それよりー、あの開発課の子、可愛いよね!…ひめくんにお似合いなんじゃない」
    いつも冷静な彼が、一瞬動揺した気がした

    「先輩は今、悲しいですか?」

    「えっ、な…?なんて」
    意識がふっと遠のいた

    +30

    -5

  • 2590. 匿名 2024/04/16(火) 18:34:24 

    >>2582
    ずっとドキドキしながら投下を待ち遠しく読んでます
    ひめくんとガル子ちゃんの行方が気になります

    +19

    -1

  • 2615. 匿名 2024/04/16(火) 19:29:32 

    >>2582
    好きな展開になってきたァ!ドキドキ💓

    +19

    -0

  • 2643. 匿名 2024/04/16(火) 20:24:22 

    >>2582
    目を覚ますと、彼の顔が目の前にあった
    カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる
    私の部屋だ
    私はベッドで寝ていて、彼の頭だけが近くにのっていた
    私の手は彼の手を握っている
    「!!!?」
    とっさに飛び起き、彼を起こしてしまった

    「先輩…おはようございます」
    「おは…いや、私、ひめくん連れ込んじゃったの?!!」
    信じられない、恥ずかしくて布団を顔まで引っ張り上げる
    無意識で手を…手を…放さなかったんだろうか?彼の中のカッコいい先輩像とは程遠いに違いない
    「いや、待ってください。先輩にそんな邪な気持ちが無いのはわかっています。
    僕も何もしていません」
    わかるよ、それは!
    お互い明らかに昨日の服のそのままだ
    つか、どんだけ紳士なの、この子は〜
    「上がりこんでしまってすみませんでした。
    酔っていたので、、、
    ほうっておけなくて」
    シュンとしてうつむく彼を見て、やっと力が抜けた
    「優しすぎるでしょ〜〜…もう…」
    「…優しいのは先輩ですよ」
    彼は居住まいを正し、まっすぐこちらを見てきた
    「先輩はいつも温かい目で、気持ちで見てくれるから。
    …信じられないかもしれませんが、あの、僕の話を聞いてくれませんか?」
    「うん?」
    二日酔いの頭を一生懸命巡らせる 
    話?
    「僕は子どものころからやたら大きく、話すのも下手なせいか、小学生のころは周りから距離を置かれていました。
    それは伝わるんです。

    僕の周りの世界は透き通っている。
    感情のようなものが伝わってくるんです」

    「…えっ??」

    +30

    -4