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2074. 匿名 2024/04/15(月) 16:33:44
>>2073
歌お題🌊
③
2DAY
「家に帰りたくなかったらまたここに来てよ。一週間くらいはいられると思う。五時過ぎたら誰も来ないから、話しよう」
別に行かなくても良かった
でもがる実の取り留めのない話を聞くのはどこか心地よかった
子どもの頃親が車で流していた懐かしい歌を聴いているような感覚だ
がる実の話は荒唐無稽で、自分の年齢は分からないけど100歳は超えているとか、ずっと一緒にいた恋人は10年以上前に病で離れた、とか
がる実の外見は俺より2~3歳上というところだと思うのだが、それで10年前というとせいぜい8歳だ
・・・・一体何歳の時の恋人なんだ
「義勇に似てたよ。長くて黒い髪で、青い瞳をしてたの」
そんなに特徴があるなら、会っていたら覚えていると思うのだが、
「義勇は彼とも会ってるよ。私と恋人は、いつも一緒だったから」
などと言われて微笑まれた
──そう、いつだって一緒だった
彼は私より年上で、その分物知りだったから、私に色んなことを教えてくれた
彼と一緒に過ごせた日々は幸せだったから、義勇にも分かって欲しかった
好きな人といられるのは、言葉を交わせるのは、奇跡なんだって
続+20
-15
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2077. 匿名 2024/04/15(月) 16:37:26
>>2074
歌お題🌊
④
3DAY
「今日は本当に元気ないね?お友達と喧嘩した?」
三日目にもなると、俺達は挨拶すらせずにベンチに無言で座っていた
「喧嘩・・・では無いと思う」
「ガル子さん?」
何でも分かると初対面から言われたけれど、ここまで見透かされているとは
「義勇を本当に落ち込ませるのは、剣道とガル子さんだから」
慌てたように言われて、また恥ずかしくなる。・・・そんなに分かりやすいだろうか
高校から一緒になった部員に、一人とんでもなく才能のある奴がいる
獅子色の髪色で、顔にある傷跡も、見た目からしてかっこよかったがそれ以上に強かった
本当に才能のある人間は、こういう奴のことを言うのだろう
口下手な俺にも気さくに話しかけてくれるので、言葉を交わすようになった頃、そいつとガル子が親しくしていることに気が付いた
クラスが一緒なのは知っていたが、委員会まで一緒だと知らなかった
それだけだと思っていたけれど、今日会話している場面を見たら、黙って去るしかなかった
俺に気が付いたガル子に話しかけられたが、素っ気なくして学校を出て行ってしまった
「・・・・何でか分からないけど、ガル子が、・・・・あいつと話してるともやもやする・・・」
「あいつ、って誰?」
剣道が強くて、髪が獅子色で・・・と続けると、「もしかして、顔に傷跡有る?」と問われた
「・・・何で分かったんだ?頬にけっこう目立つ傷跡がる。それも男らしいが」
ガル実は破顔し、やがて「・・・・あははっ」と声を出して笑い出した
「・・・・何だ、急に」
「義勇はその人のことも好きなんだね。男らしくて、憧れてるんでしょう?」
「・・・・そう、かもしれないな」
俺とは違う男らしさに、逞しさに、多分最初から憧れていた
「二人と、話せると良いね」
がる実は笑った。とても嬉しそうに
──貴方がかつて、ガル子さんに語っていた友に、会えていたことが嬉しくて
私まで幸せな気持ちになったんだ
続
連投失礼しました
後日また更新します+26
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