ガールズちゃんねる
  • 1829. 匿名 2024/04/14(日) 23:23:42 

    >>1828 続き
    ⚠️ガル子も🌫も24歳の設定

    🌫『10年のキセキ』⑩ 最終話

    これからも私は、あなたに感謝の想いを伝えていけるだろうか?
    伝えきれない言葉の数々が、まだ胸の内側にたくさん残っている。
    ふたりで過ごす時間を大切にして、寄り添って生きていたい。そして、今度こそ最後の瞬間まで見届けたい──。

    カーテンの隙間から窓の外を覗くと、まだ薄暗かった。私は、眠っている彼を起こさないようにして、そっとベランダへ出た。
    高台のアパートからは、私達が慣れ親しんだ街を見渡すことができる。変わらない場所もあるけど、新しい建物が建ったりお店ができたりと、街も少しずつ形を変化させているようだ。
    どこまでも澄みきった空に、透きとおるような風が吹いている。
    『春はあけぼの』だなんてよく言ったものだなぁ…と思う。
    遠くの景色を白く縁取る朝霞と紫がかった雲が、しっとりとした風情を感じさせる。
    しばらくのあいだベランダの柵越しに春暁を眺めていると、「あ、起きてたの。おはよう」とむいくんがやってきた。まだ眠いのか目をこすっている。
    「おはよう。夜明けの空って綺麗だよね」
    「うん」
    「ねぇむいくん」
    「なに?」
    「もし生まれ変わって次の世でも逢えたら、また私を選んでくれる?」
    少しドキドキしながら、聞いてみた。
    「これから結婚するっていうのに、もっと先のことを考えてるの?まったく君っていう人はさ──」
    むいくんは呆れたように笑ったが、続けてこう言ってくれた。
    「選ぶよ、何度でも。──いつの世でもどんな時でも、君とずっと一緒にいたいから」
    「…良かった」
    いつ何が起こるかわからない人生だから、約束できる時にちゃんと約束しておく必要があると思ったのだ。一番大事なことを伝えておかないと、後悔してしまうことになるかもしれないから──。
    「コーヒー淹れてくるね。少し待ってて」
    むいくんはそう言うと、部屋の中へ行ってしまった。

    東の空に太陽が昇って、また新しい一日が始まる。何の変哲もない毎日の繰り返しだけれど、この平穏な日々が当たり前のことではないことを、忘れてはならないと思った。
    ふたりで過ごす時間を大切にできたら、次の世でもまたさらに次の世でも…何度でも奇跡を起こしていけると思った。
    私は、これまでに積み上げてきたふたりの時間──紡いできた言葉の数々と幸福な思い出、手を繋いで乗り越えてきた試練たち──のことを思った。
    ──ねぇ、むいくん。これまでの軌跡と、いくつもの奇跡の連続が、今日という日を作り上げたんだね。
    長い年月のすべてのキセキが実を結んで、私達の歴史に今新しい軌跡が記されようとしている。
    ──時空を超えた約束と生まれたての奇跡のような軌跡が、私の心をいつまでも震わせていた。

    完💍✨


    この話は私が彼トピを見つけた時からいちばん書きたかった物語です。投稿の場をどうもありがとうございました🌸

    +36

    -6

  • 1836. 匿名 2024/04/14(日) 23:33:21 

    >>1829
    他推しですが引き込まれて読んでいました!
    なんだか読んでいてお腹の底がほっと落ち着くような感覚になる文章で、特にタイムカプセルを堀りに行くシーンはワクワクするのにほっこりしました☘️
    そして夢の中で会えた鬼殺隊のむいくん、ガル子の穏やかな幸せをずっと見守ってくれているんだろうなぁ。現代のむいくんも優しい☺️
    素敵なお話ありがとうございました♡

    +22

    -3

  • 1839. 匿名 2024/04/14(日) 23:42:22 

    >>1829
    読んでて嬉しくなりました
    語彙がなくてどう表現すればいいのかわからないけれど、素敵なお話ありがとう

    +22

    -1

  • 1858. 匿名 2024/04/15(月) 00:35:59 

    >>1829
    「時間のプレゼント」にジーンときました。
    前世では出来なかったことを現世でたくさん出来てホント良かったなぁと。
    素敵なお話読ませていただきありがとうございます。

    +23

    -1

  • 2344. 匿名 2024/04/15(月) 21:58:04 

    >>1829
    宴たけなわの中長い長い激重感想を失礼いたします
    投稿されて、最初の方にコメントしたんだけど、あ…これはなんかちゃんと時間の取れた時にゆっくり読ませていただこう…と思って今、最後まで読みました
    この物語が1829さんにとってどんなに大切な物語なのか伝わってくるし、14歳の時の思い出とか今の何気ない日常とかもリアルで、自分もお話のガル子さんに重ねてしまいそうなほどむいくんがむいくんで、8話目では本当に泣きそうになってしまい一回スマホから目を離して一呼吸したくらい入り込んで読みました
    後出しジャンケンみたいになっちゃうんだけど、私も何故かむいくんて人生の早い段階で人生の目的や伴侶をさっさと決めちゃって、その後は自分の選んだものを脇目も振らずに見つめ続けて生きていきそうって思ってたの。それが何故なのか、ただの私の願望なのか?なんて思ってたんだけど、時間のプレゼントという言葉を読んだ時にはまさに涙腺崩壊して…私にもその答えを教えてもらったような気がしました
    また何度でも読み返させてもらいたいと思います
    1829さんとむいくんからの素敵なお話のプレゼント、本当にどうもありがとう

    +28

    -8