ガールズちゃんねる
  • 1822. 匿名 2024/04/14(日) 23:10:58 

    >>1820 続き
    ⚠️ガル子も🌫も24歳の設定 ⚠️🐚(苦手な方はお手数おかけしてすみませんが、スクロールをお願いいたします)

    🌫『10年のキセキ』⑦

    タイムカプセルを回収した後、馴染みの店で記念日のお祝いをした。
    そして家に帰るとすぐに、後ろから抱きすくめられて、そのままベッドに倒れ込んだ。
    シーツの中に身体の輪郭を縁取った窪みができるくらいに沈み込むと、服の隙間から膨らみに沿って手が這わされてゆくのがわかった。耳たぶを甘咬みされて、熱い吐息を吹きかけられる。
    「やっぱりこっちのほうがいいな。──可愛い顔が見られるから」
    などと言い、身体の向きをくるりと変えられる。柔らかな長い髪に優しく包みこまれ、深い口付けを繰り返されると、身体の奥までもがじんと熱くなった。
    「ガル子のこと隅々まで知り尽くしてるのは、僕だけだよね──」
    「──うん」
    彼の手によって、全身がバターみたいにじんわりと蕩けて焦がされてゆく。
    深く抱き合い、蝶番や二枚の合わせ貝のように──ほとんど完璧なまでにぴったりと重なり合う──身体同士を何度も重ね合わせた。

    続く

    +25

    -4

  • 1825. 匿名 2024/04/14(日) 23:15:29 

    >>1822 続き
    ⚠️ガル子も🌫も24歳の設定

    🌫『10年のキセキ』⑧

    ──その日の夜、不思議な夢を見た。鮮やかな色彩と強い香りを纏った、妙にリアルな夢だった。
    目醒めてから、右の薬指にダイヤモンドの指輪がちゃんと輝いているのを確認すると、私は安堵した。
    『そっか。こっちは夢じゃなかったんだな』と思いながら、つるりとした宝石の表面をなぞった。隣には愛しい男が、すぅすぅと規則正しい寝息を立てて眠っている。

    🌸🌸🌸

    さっきまで見ていた夢の中で、私は14歳の彼に出会った。──正確に言うと彼だけど、彼ではない。“過去の彼”だ。
    今までも何度か夢の中で会ったことがあった。
    時代も今よりずっと昔で、浅葱色の剣を振るい、“鬼”と呼ばれる存在と闘っていた。彼は月明かりの下で、ぞっとするような美しさを放っていた。顔つきも今とはだいぶ違っていて、とても精悍で本気の眼差しをしていたから、全身全霊で命を懸けて闘っていることがひしひしと伝わってきた。──これはきっと前世のむいくんなんだろうな。何か大きな使命を全うしていたんだろうな、となんとなく感じ取っていた。

    隊服姿の14歳の彼と24歳の私は、満開の桜に囲まれて木船に揺られていた。
    向かい合わせに座っていたので、彼の顔がよく見えた。14歳のむいくんだ、懐かしいな、可愛いなぁ…なんて思っていた。
    そして、淡い薄桃色のひそやかで可憐な花の美しさに目を細めた。ふわりと春の風が吹くと花吹雪が舞って、甘く優しい香りがほのかに匂い立った。船は華やかなトンネルをいくつもくぐり抜けて、花筏の上をすーっとなめらかに進んでいった。
    「ガル子、──大人になったんだね」
    むいくんが私に優しい眼差しを向ける。
    「うん」
    「ねぇ君はさ、いつかの秋の日の約束を覚えてる?」
    「……約束?」
    「生まれ変わっても何度でも出逢えるように約束したんだよ。忘れちゃったの?」
    澄んだブルーの瞳にグレーの紗が掛かって、寂しそうに彼が言った。薄紅色の繊細な花びらがはらはらとこぼれ落ちて、彼に降り注ぐ。
    「ごめん、どうしても思い出せない。どうしてそんな大事なことを忘れてしまったんだろう……」
    私もたちまち悲しくなってしまった。

    続く

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