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1818. 匿名 2024/04/14(日) 23:05:15
>>1796
トピまたぎでややこしくてすみません🙏
前Part15の
>>4476から始まるお話の続きです
「無惨様と一番近い女」 19話
ぐいぐいと強引に手を引かれて連れて行かれたのは宝飾店だった
店員は月彦様の顔を見るなり飛んできた
「結婚指輪を頼む」
顔色も変えずサラリとそんなことを言うので
「ハアッ!?」
私は心底驚いた
いやいやいや…そんな!八百屋で人参でも買うみたいに──
そもそも突然のプロポーズに私は返事さえしていないというのに!
な、何なの!?
「ちょっと…待って下さい!」
月彦様の腕を引っ張って店員から離れる
「何だ?結婚するのだから指輪を買うのは当然だろう?」
私の方がおかしいのだと言わんばかりの言い方にもう呆れてものが言えない
「さあ、どれでも好きな物を選んで良いぞ」などとさも得意げに言う
どう考えても私に愛情などあるとは少しも思えないし
きっとこれは何らかの策略なのだ
私を利用しようとしているだけ──
社会的にも独身より妻がいる方が体裁も良いのだろうし…
などと勘ぐりながらもショーケースに目をやってしまう浅ましい女心が悔しい
きらびやかな石を付けた指輪がキラキラとまばゆく煌めいていて
私には違いやその価値など見分けられない──
私のためらいを察したかのように
不意に店員が私の指のサイズを測ると
いくつかの指輪を取り出して並べて見せた
「お嬢様にはこれなどお似合いではないかと──」
ご丁寧に指にはめてみせてくれた
ことさら主張しすぎず
かといって小さすぎることもなく
上品なダイヤモンドが輝いている
さすがの見立てだ
私はうっとりとその煌めきに魅入った
気付けば紙袋を手に月彦様と店を出ていた
つづく+29
-29
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1833. 匿名 2024/04/14(日) 23:32:32
>>1818
「無惨様と一番近い女」 20話
こんなの…あんまりじゃない?
愛情なんてありもしない
かりそめの結婚──
しかも相手は人の姿をしているとはいえ鬼なのよ?
そして私は敵である鬼殺隊の隊士──
一体どういうつもりなの?
月彦様──無惨の真意はその表情からはわからなかった
だがなぜか急かすように事を進め
次は婚礼衣装の店に入った
「最近では洋装、ウェディングドレスなども入っておりますのよ」
店員は白無垢や打ち掛けやドレスと次つぎに案内して見せてくれる中
ふと私の目に留まったのは──
「私、これが着てみたいです」
自分でも言葉が出て驚いた
シャッ!
試着室のカーテンが開かれた
しずしずと足元に気を付けながら歩み出る
「旦那様もご試着できましたよ」
その声に顔を上げると──
白装束に烏帽子姿の月彦様の姿が目に入った
私は十二単を着ている
二人の目が合った瞬間
互いに言葉を失って驚いた
二人を取り巻く景色がぐるりと廻り
そこは雅な日本庭園になった
何だかとても懐かしい──
この庭も目の前にいるこのお方も──
言葉はなかったが
互いの瞳がすべてを理解していた
そう──
私達は遠い昔
千年前に出逢っていたのだと…
つづく
+26
-28
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2852. 匿名 2024/04/16(火) 23:26:55
>>1818
前Part15の続きですが
【結末が2つあるお話】のお題で
すでに書いたお話とはここから内容が変わります
エピソード②として話数は続けて表示します
ややこしくてすみませんがよろしければこちらも読んでやって下さい🙇💦
「無惨様と一番近い女」② 19話
「ちょっと!待って下さいよ!」
私は憤慨していた
強引に引っ張る腕を振り払うと
月彦様…いや、無惨はいかにも迷惑そうな顔をした
「私、まだパンケーキ全部食べてないのに…ヒドイですよ!」
「はあ?お前の不満はそこなのか?」
「いや…プロポーズも意味わかりませんけど…あのお店にはずっと行ってみたいと思ってたし、美味しく味わってたのに…!」
悔しいやら何だか訳が分からない感情が溢れて涙が出て来た
「お前…泣くほど食べたかったのか?」
無惨はすっかり呆れている
「グスッ…でも!プロポーズもあれ、何なんですか?
意味わかりませんよ!
女の子にとってあれは一生物の大事な場面なんですよ?
私のことなんか…好きでも何でもないんでしょう?」
パンケーキも悔しいがこの扱いもさらに腹立たしい
なのに無惨はサラリと
「まあ…そうだな」と言ってのけた
わかってはいたが実際に言われるとは!
「信じられない…私、帰ります
お疲れ様でした!
あ、あと、少ーしでしたけどごちそうさまでした!」
くるりと踵を返すと私はカツカツとヒールを鳴らしてその場を後にしようとした
「まあ待て」
珍しく無惨が私をたしなめるように止めて来た
振り向くと少しはにかむような顔でこちらを見ずにこんなことを言う
「実は…先日の料亭での社長が
いたくお前を気に入って息子の嫁にしたいと言われてだな…」
「えっ?」
「私としてはそれは困るのだ」
白いハットを深くしてその表情は見えなかったが──
つづく
+32
-28
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7324. 匿名 2024/04/25(木) 06:47:05
>>529
長文総本山に紐付けます
「無惨様と一番近い女」
月彦様の屋敷に鬼殺隊士として潜入していたガル子は、ある夜月彦様が無惨だと知ってしまう
単独行動で無惨の頸を狙うも…
思わぬ展開になっていく──
前Part15にて18話まで書いていたお話の続きですが
⚠ややこしいですが、結末が2つあるお話として19話からそれぞれ続きます
⚠微🐚表現が出ます
⚠解釈違いあるかも?
🪭エピソード①>>1818 19話〜30話
🪭エピソード②>>2852 19話〜26話
🌺こぼれ話「千年前 在りし日の二人」
全2話>>4026
+万葉集、百人一首より抜粋と解説+39
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