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1817. 匿名 2024/04/14(日) 23:04:22
>>1815 続き
⚠️ガル子も🌫も24歳の設定 ⚠️🐚出現有の長編です。
🌫『10年のキセキ』⑤
「なに泣いてるの?読み終わったの?」
「……うん」
私はハンカチで顔をおさえながら言った。
「なんて書いたか忘れちゃったから見せて。ガル子のも見る?」
「いいよ。私のも見せて?」
私達は手元の手紙を交換した。
私の手紙は中学生らしい文面で、彼への愛の言葉がひたすら羅列された内容だった。
「これ、恥ずかしすぎるな……」
私はかつての自分が書いた稚拙な文章を読みながら、顔を覆いたくなった。
「でも、ガル子の好きって気持ちがたくさん伝わってきて嬉しかったな」
「…むいくんからの手紙には負けるよ」
「ねぇ僕がどのくらい君のことが好きか、わかった?」
私はコクリと頷く。
「14歳の時からずっと、君への気持ちは変わらない。でも日々君を想う気持ちは強くなってるから、これを書いた時よりもずっと君が好きだよ。ねぇガル子、これからもそばにいてくれる?」
「もちろん。だって私にはあなた以上に好きになれる人なんていないから」
──こんな魂が震えるような恋愛をしてしまったら、もうこれを超えるような恋なんてできるわけがない。むいくんは私にとって唯一無二の存在だ。
「やっぱりそうだよね。ねぇ、ガル子」
「…ん?」
「はい、これ」
彼の手のひらには、エメラルドグリーンのベルベットの小箱がある。
「これって……」
「あけてみて」
続く+22
-5
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1820. 匿名 2024/04/14(日) 23:08:00
>>1817 続き
⚠️ガル子も🌫も24歳の設定 ⚠️🐚出現有の長編です。
🌫『10年のキセキ』⑥
全く検討がついてなかったわけではないけれど、私はドキドキしながら箱をあけた。あけると、きらきらと輝くダイヤモンドの指輪が鎮座していた。
「……ちょっと待って」
私の涙腺がまた緩んでしまう。
「ふふ。君のこと、びっくりさせたかったんだ。ねぇガル子、──僕と結婚してくれる?」
「…ありがとう。私で良ければ結婚してください」
「良かった…!これからも君のことを幸せにし続けるからね──」
むいくんが私の頬を優しく撫でて言った。
私はまた胸がいっぱいになって、目頭をおさえる。まさかこのタイミングだとは思ってなかった。
具体的な入籍の話は出ていなかったので、こういうのはまだ先かなと思っていた。でもむいくんはずっと前からちゃんと考えて、準備してくれていたんだ──。そのことがとても嬉しくて、感動で胸が震える。
「良かった……緊張してたから」
ふうっと安堵した様子で彼が言った。
「えっ、全然そんな感じじゃなかったじゃん」
彼らしいなと思いながら言った。思えばいつもそうだった。どんなことでもそつなく淡々とこなすから。
「ガル子に気付かれないようにしてたから──。これからも末永くよろしくね」
「うん!ずっとよろしくね」
すると彼が「はめてあげるね」と、私の右の薬指に指輪をはめてくれた。
「わーっ!綺麗!」
「似合ってるよ、すごく」
彼がふんわりと微笑んで、そう言ってくれた。今までの人生でいちばん幸福な私達を、たくさんの緑と爽やかな春風が優しく包みこんだ。
(次は⚠️🐚描写があります。苦手な方はお手数おかけしてすみませんが、⑧へお進みください)
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