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1815. 匿名 2024/04/14(日) 23:00:58
>>1248 続き
⚠️ガル子も🌫も24歳の設定 ⚠️🐚出現有の長編です。
🌫『10年のキセキ』④
『ガル子へ。
この手紙を君が読んでいるということは、僕たちは仲良くやっている、ということだよね?
10年後の僕とガル子は元気ですか?
君は相変わらずなのかな?
できるなら会って話したいことがたくさんあります。
僕たちが初めて付き合った日のことを覚えていますか?
ガル子は知らないと思うけど、僕は君と出逢った時からずっと君のことが好きだったから、付き合えたときはとても嬉しかった。
君は僕にとって一番大切な人だよ。話していてこんなに楽しくて安らげる人は他にいないよ。
これからもずっと仲良く、幸せに歳を重ねてもらえたら嬉しいです。
無一郎より』
読んでいて涙が溢れた。
手紙の中には、14歳のむいくんがいた。──賢くて、落ち着いた佇まいの美しい少年だった。
私は、初めて手を繋いだりキスした時のこと、初デートした日のこと、(これは少し先の話になるけれど)初めて肌を重ね合わせた時のこと…なんかを思い出していた。
数え切れない初めてを経験させてくれたのは、他の誰でもないあなただった。
あてもなく自転車の旅をしたこととか、こっそり家を抜け出して初日の出を見に行った日のことなんかも思い出していた。
水族館、遊園地、動物園、美術館、展望台、科学館…etc。大概のカップルが行きそうな場所は全部行った。出掛ける場所に困ってしまうくらい、近場のデートスポットは制覇した。
それと、放課後の児童公園や駅前のファストフード店には何度足を運んだかわからない(アイスクリーム屋は残念ながらもう潰れてしまったけれど、ハンバーガーショップとドーナツショップは今もまだそこにあるので、店の前を通る度に青春の想い出が蘇ってくる)。
私達はそこで無限におしゃべりすることができた──。
そして、別れる時は名残惜しくて何度も手を振った。明日またすぐに会えるのに、片時も離れたくなくて、家に帰っても長電話したりした。
こんな私達だけど10年の間ずっと順風満帆だったわけではない──。大学は別だったし、魔が差して他の人によろめきそうになったこともあるし、いくつかの危機を迎えた。乗り越えられたのは、むいくんの精神が成熟していたからだったと思う。
──むいくんは彼氏である前に親友であり、私の青春そのもので、もはや人生の一部なのだった。
続く
コメントくださった方、読んでくださってる方ありがとうございます。連打になってすみませんが、続きをあげていきたいと思います。
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1817. 匿名 2024/04/14(日) 23:04:22
>>1815 続き
⚠️ガル子も🌫も24歳の設定 ⚠️🐚出現有の長編です。
🌫『10年のキセキ』⑤
「なに泣いてるの?読み終わったの?」
「……うん」
私はハンカチで顔をおさえながら言った。
「なんて書いたか忘れちゃったから見せて。ガル子のも見る?」
「いいよ。私のも見せて?」
私達は手元の手紙を交換した。
私の手紙は中学生らしい文面で、彼への愛の言葉がひたすら羅列された内容だった。
「これ、恥ずかしすぎるな……」
私はかつての自分が書いた稚拙な文章を読みながら、顔を覆いたくなった。
「でも、ガル子の好きって気持ちがたくさん伝わってきて嬉しかったな」
「…むいくんからの手紙には負けるよ」
「ねぇ僕がどのくらい君のことが好きか、わかった?」
私はコクリと頷く。
「14歳の時からずっと、君への気持ちは変わらない。でも日々君を想う気持ちは強くなってるから、これを書いた時よりもずっと君が好きだよ。ねぇガル子、これからもそばにいてくれる?」
「もちろん。だって私にはあなた以上に好きになれる人なんていないから」
──こんな魂が震えるような恋愛をしてしまったら、もうこれを超えるような恋なんてできるわけがない。むいくんは私にとって唯一無二の存在だ。
「やっぱりそうだよね。ねぇ、ガル子」
「…ん?」
「はい、これ」
彼の手のひらには、エメラルドグリーンのベルベットの小箱がある。
「これって……」
「あけてみて」
続く+22
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