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17418. 匿名 2024/05/12(日) 16:37:48
>>17400《ア・ポステリオリ》ハピエンルート③
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
「…んだよお前、いつからだよ…」
独り言のように耳元で呟かれた掠れ声。
「わかんないけど…気付いたら…」
大きなため息を吐いた宇髄さんが身体を離す。
きっと困らせている。怖くて顔が上げられない。
俯く私の両頬が、そっと包まれる。
「こっちむいて」
恐る恐る顔を上げると。
いつも通り、優しい表情の宇髄さんと目が合った。
「俺も」
今度は私が、息を呑む。
「やっと言えるわ……。俺も、めちゃくちゃ好き。大好き」
くしゃっと笑った宇髄さんに、ぎゅっと抱きしめられて。嬉しすぎて泣いてしまって。
二人で人目も憚らず、しばらくぎゅっと抱きしめ合って。
それから。
夕方の飛行機に乗って実家に帰ることを話したら、すごく怒られてしまった。
つづく+22
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17422. 匿名 2024/05/12(日) 16:44:29
>>17418《ア・ポステリオリ》ハピエンルート最終話
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
空港までの道のり、宇髄さんのバイクの後ろで春の風が頬を掠めていくのを感じていた。
「うわー、何だよもう。でも、ずっと俺がいっぱいいっぱいだったから言えなかったんだよな…悪かった」
「違うよ。ただ私が言えなかっただけ。…なんかかっこ悪くって」
「真面目に頑張ってただろ、かっこ悪くねぇよ。自分のことばっかりで気付いてやれなかった俺がダセェわ…」
「宇髄さんも頑張ってたじゃん」
宇髄さんの背中に頬をつけて、大きく息を吸い込む。
一緒に過ごした四年間。こうやって二人でバイクに乗って、色々な話をしたことを思い出す。
それぞれ色々なことを、乗り越えたり諦めたり。やり過ごしたり、見て見ぬふりをしたりしてきたけれど。
煙草の匂いも、切ない潮風も。
もう、一人で感じることはない。
「桜一緒に見に行けなくてごめん…」
「あー、俺もこのままお前ん家行くわ。あっちはもう咲いてんじゃね?」
「…え?」
「はぁ?お前このまま空港着いて『じゃあまたね』とか言うつもりだったのかよ」
「う……でも、チケット…」
「どうにでもなるだろ。俺、このまま離れ離れとかぜってぇ無理」
もう少ししたら、二人で桜を見られるから。
そうしたらきっと。
これから感じるすべてのことが、二人の春の記憶を、塗り替えてくれる。
終
(フィナーレ中に連投ごめんなさい💦これで成仏できます🙏ありがとうございました☻)+22
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