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15657. 匿名 2024/05/10(金) 22:42:30
>>15654 🔥⚠️🐦⬛(2/3)
一瞬記憶を辿るような顔をしてから私を不思議そうに見つめる。
「朝、名前が聞こえたから…カナメって…。そうなのかなと思って」
それに…昨日と同じシャツだし…
はっはっはっと愉快そうに笑った。
「まぁ、そういうことにしておいてくれ」
ふわっと香水の香りだけ残して、濁すように去っていった。
あー
完全にやられた。
誕生日に誘おうと思っていたのに。
─────そんな数日前の出来事を思い出していた。
深いため息をつくと、そこへソフトクリームをふたつ手に持った煉獄課長が現れた。
「みんなには内緒だぞ」
空いているスペースに座ると、君が最近元気ないから、と言って一つを私に差し出す。
「あの…」
「ん?あぁ、君に貸した金のことなら気にするな!」
あっそうだ、と思い出して先日コンビニでお昼を買おうと思ったらお財布を持っていなかったことに気づき、偶然近くにいた煉獄課長に借りた千円を慌てて返そうとすると、いらないと言って突き返された。
「いや。そうじゃなくてですね!」
「む。ではなんだ」
「……良かったですね。可愛い彼女ができて。カナメちゃんと末永くお幸せに」
課長がキョトンとした顔で私を見る。
「ん?カナメは鴉だが」
えっ?!えーーっ?!
つづく+22
-5
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15659. 匿名 2024/05/10(金) 22:45:50
>>15657 🔥⚠️🐦⬛(3/3)
「百聞は一見にしかず。まぁ見てくれ、可愛いだろう」と言いながらスマホの待受を見せてきた。
「ある日道端に黒いかたまりがあると思って近づいてみたら、羽が折れて動けなくなっている鴉がいてだな」
「えっ、じゃあ数日前にシャツが2日続けて同じだったのって……」
「あぁ、要を見つけた日だ。動物病院に連れて行って一晩中そばにいてやったんだが、朝方うっかり寝てしまって遅刻した。課長として不甲斐ない」
スマホのアルバムはスクロールしてもスクロールしてもカナメという名のカラスで埋め尽くされていた。
お父様の頭の上にちょこんと乗っている写真が可愛い。
「カラスは意外と懐くし賢い!人間の指示も理解できるし、悲しいと涙も流すぞ。ちなみに要はオスだ」
へぇー。カラスって飼えるんだ…
「必要の〝要〟でかなめ。ある物事の最も大切な部分。要点。「組織のかなめとなる人」という言葉もあるな」
煉獄さんをそのまま表すような名前だなと思った。
「課長のマンションで飼ってるんですか?」
「いや実家にいる。庭に小屋を作って父と弟が世話をしてくれているんだが、ちゃんと役所にも許可を得ているぞ」
「あっ嫌がられてますよ、これ」
煉獄課長が要の嘴に頬を押し付けてくっついている写真があったが、要が嫌そうにしていて可愛い。
カラスに名前をつけて可愛がってる煉獄課長も可愛い。
なんだか随分と昔からの相棒だったような雰囲気の煉獄課長と要にほわほわしてきて、ほっとしたら涙が出てきた。
私の急激な感情の変化に課長が戸惑う。
「この数日間ショックで夜しか寝られなかったんですよ。責任とってください!」
大きな手で目の前に差し出されたのはカラス柄のハンカチだった。
この前持ってたのはサツマイモ柄だったが、もう少しビジネス向けのはないのか。
「すまない。俺が君を泣かせたと思われるから泣き止んでくれ」
実際そうだろ。
恨めしそうに目線を向けると、「どうすればいい」と眉を下げて困っている。
「要に会いたいです」
私がそう言うと、課長はいつものように優しく微笑んで大きく頷いた。
その笑顔が永遠に続きますように。お誕生日おめでとうございます。
おしまい
煉獄さんお誕生日おめでとう🎉🎂
ずっとずっと大好きです♡(お誕生日間に合って良かった☺️)+28
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