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15654. 匿名 2024/05/10(金) 22:40:05
>>15226 お誕生日🎂💐
>>833 そういうことにしておいて下さい
🔥⚠️🐦⬛(3/1)
溌剌とした青空に、初夏の爽やかな風が髪を揺らす。
カラッとした性格で今日がお誕生日の煉獄課長にお似合いの陽気だった。
私はと言うと、公園のベンチで暗い気持ちのままお昼ご飯のサンドイッチを食べている。
─────遡ること数日前。
その日の前日は定時に帰ったはずなのに、いつもきちんとしてる憧れの煉獄課長が遅刻してきて、おまけに昨日のシャツのままだった。
なにか理由があるなら知りたかった。聞き耳をたてていると、
「うちのカナメが…」
「カナメが可愛くてな…」と嬉しそうな課長の声。
え、ちょっと待って!
カナメって誰よ?
彼女?できたの?カナメちゃん?叶芽ちゃん?
そのような名前の女の子はうちの会社には存在しない。カミナリに打たれたように動けなくなって、頭が真っ白になって息が苦しくなってきた。目眩もする。
どうにか絞り出した声でとなりの席のモブ田さんを小声で呼んだ。
「…煉獄課長って彼女できたんですか?」
「えっそうなの?知らないけどー」
興味なさそうにデスクの上の資料を見つめてこちらを見ようともしない。
そうか。それならば自分で確かめるしかない。
と思った時には課長はもう既に外出してしまって姿が見えなくなっていた。
午前中は全く仕事が手につかず、気分を切り替えようと社食に行けば、
「煉獄課長のカナメ見た?可愛いよねー」「見た見たー!」「私カナメ推し!」「課長も相当惚れ込んでるしねー」
と、同僚たちの盛り上がる会話が耳に入った。
「えっ、見せてもらったんですか?!」
「うん。スマホの待ち受けにしてるし、カナメめっちゃ可愛いからガル山さんも見せてもらいなよ」
みんなでカナメ…カナメ…って
課長の彼女そんなに可愛いんだ…
そうだよね。課長がいい男なら釣り合う彼女もそりゃいい女だわな。
心にダメージを受けつつくるっと振り返るといつもの様に元気いっぱいに社食の天丼大盛りを頼んでいる課長を見つけてダッシュした。
「あの…!!!!!課長はせっかちだから単刀直入に聞きますけど!!!!彼女できたんですか?」
つづく+22
-6
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15657. 匿名 2024/05/10(金) 22:42:30
>>15654 🔥⚠️🐦⬛(2/3)
一瞬記憶を辿るような顔をしてから私を不思議そうに見つめる。
「朝、名前が聞こえたから…カナメって…。そうなのかなと思って」
それに…昨日と同じシャツだし…
はっはっはっと愉快そうに笑った。
「まぁ、そういうことにしておいてくれ」
ふわっと香水の香りだけ残して、濁すように去っていった。
あー
完全にやられた。
誕生日に誘おうと思っていたのに。
─────そんな数日前の出来事を思い出していた。
深いため息をつくと、そこへソフトクリームをふたつ手に持った煉獄課長が現れた。
「みんなには内緒だぞ」
空いているスペースに座ると、君が最近元気ないから、と言って一つを私に差し出す。
「あの…」
「ん?あぁ、君に貸した金のことなら気にするな!」
あっそうだ、と思い出して先日コンビニでお昼を買おうと思ったらお財布を持っていなかったことに気づき、偶然近くにいた煉獄課長に借りた千円を慌てて返そうとすると、いらないと言って突き返された。
「いや。そうじゃなくてですね!」
「む。ではなんだ」
「……良かったですね。可愛い彼女ができて。カナメちゃんと末永くお幸せに」
課長がキョトンとした顔で私を見る。
「ん?カナメは鴉だが」
えっ?!えーーっ?!
つづく+22
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