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15426. 匿名 2024/05/10(金) 18:21:02
>>15425
🔥誕生日は君と2/3
何か仕事の悩みでもあって、ついでに相談したいのかもしれない。仕事の悩みを聞くのも上司の勤めだ。
"了解! お店は私が決めるね"と送信し、一件、客先に用事がある私は、現地集合にしようと提案してメッセージを終えた。
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「すみません、主任。遅くなりました」
「全然、さっき来た所。何飲む?ビール?」
「主任と同じものをお願いします。」
乾杯をして、美味しいご飯を食べながら会話は弾んだ。予想に反し、仕事の話には全くならなかった。
お酒が進むにつれ、彼が私に聞いてくるのはプライベートな事ばかり。しかも巧妙に、さらりとイヤな感じにならない聞き方で。
付き合っていた社内の男性から、二ヶ月前に別れを切り出された私は、そっちには何も明るい話が無いから笑って誤魔化す。誤魔化したせいか質問が直接的に変わった。
「主任の、恋愛対象が知りたいんだが」
「恋愛対象?」
「年下の男はアリかナシか。」
「年はあまり関係ないかな…尊敬できる人がいい。」
「5歳歳下でも?」
あまりにじっと見つめて問われると、まるで尋問されているみたいで、どうしていいか分からない。
どう返事するのが正解かわからず、飲みかけのハイボールのグラスを置いた。
彼の金環の瞳に自分が映っているのが見える。
「煉獄くんはどうなの?」咄嗟に聞き返した。
「ん?俺は5歳年上の女性で、仕事が出来る、可愛くて鈍感な女性がタイプですね。」
「やけに、具体的だね…」
そういえば、フリーと言っていたけど、彼はもてそうだし彼女すぐ出来そうだけどな…
「実は、社内に好きな人が居るんです。相談にのってくれませんか?」
🎵〜
いいよと返信しようとした時だった、店内に流れていた音楽がふと途切れて、軽快な音楽に切り替わる。
『お誕生日おめでとうございます!』
店員が誕生日ケーキのプレートを持ってきて、彼の前に置いた。『れんごくくんおめでとう』と平仮名で書かれていて、チョコで書く漢字は難しかったのかなと思わず笑ってしまう。
「主任、これ…」
「改めて、煉獄くん、お誕生日おめでとう」
『一緒にお写真撮りましょうか?』店員からの誘いに
いえ、それは大丈夫ですと伝えようとした言葉を遮って
「お願いします!」と鼓膜が震えるくらいの大きな声が店内に響く。
店員の指示で、プレートを挟んで二人で並ぶ。
にっこり笑っての指示の元、レンズに笑顔を向ける。シャッターが降りる瞬間、そっと肩に手がふれて引き寄せられて腕同士がぶつかり、顔が横に近づく。
『いい写真撮れましたー、あとでお誕生日の方にお渡ししますね』
店員が去っていくのを見つめながら、この写真を彼はどうするんだろう、なんてぼんやりと考えていた。+28
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15430. 匿名 2024/05/10(金) 18:28:46
>>15426
🔥誕生日は君と【終】
店を出て見上げた空には、月が珍しく輪郭がくっきりと輝いていて、頬を撫ぜる風は暑くも寒くもなくて、なんだか空気が優しい。
こんないい季節に彼は生まれたんだなぁと、ほろ酔いの頭で思う。
「主任、今日はありがとうございました。忘れられない誕生日になりました!」
「そんな、大袈裟な。でも、喜んでくれて良かったよ。明日からこの分しっかり働いてね。」
やっぱり自分の口から出るのは、色気のない台詞だ。
「随分、わかりやすく口説いたつもりなんだが、やはり主任は鈍感だな!」
「くど、口説く?」
「主任の事が好きです。振り向いてくれるまで諦めません!」
ち、ちょっと待って…と言いかけたけれど、
耳元に口を寄せて「仕事と、あなたにもっと意識してもらえる様に頑張ります。」と囁いた彼の声が、静かに耳から身体中に沁み渡っていった。
「あ…あの、れ、煉獄くん?」
「主任!これ、一生大事にします!」
先程の写真を手でひらひらさせながら、にっこりと彼の目尻が下がっていく。
お誕生日おめでとう🎂
終
煉獄さん誕生日おめでとうございます🔥
今年もお祝いできて本当に嬉しいです!
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