ガールズちゃんねる
  • 15248. 匿名 2024/05/10(金) 08:59:16 

    >>15204
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 23話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です


    二人を後部座席に乗せた後、自分も運転席に座った。雨で濡れた隠の頭巾も口元の覆いも全て剥ぎ取って深呼吸する。バックミラー越しの二人は緊張しているようにも、不安そうにも見える。
    「まず炭治郎。お前はここで、この世界で自分がやるべき事がある。わかるだろ?それともお前は、自分のやるべき事を放棄するのか?」
    「それは───っ」
    「ガル子さんと一緒に行くっていうのは、そう言うことなんだ」
    炭治郎が押黙った。
    「ガル子さんは元の所に生活の基盤がある。帰らなければ心配する人がいる。だから、ここでお前と一緒にいるという選択肢は元から無い。それに…」
    「じゃあ、どうすればいいんですか!」
    炭治郎が苦しそうに叫んだ。
    「いいから人の話は最後まで聞けよ!」
    お互いに一歩も引かないという、緊迫した空気が流れる。
    「───お前のやるべき事の先に、ガル子さんの未来があるんだ。お前がちゃんと竈門炭治郎としての責任を果たしたら、ガル子さんの生きる未来が守られる」
    「後藤さん…」
    「万が一、炭治郎が責任を果たせなければガル子さんのいる未来が変わるかもしれない」
    「そんな…」
    鬼滅が好きならわかるだろう、主人公の背負う過酷で、苦難に満ちた重い責任が───そして、それを放棄することは許されない。そもそも、時空を超えて本来出会う筈のない二人がこんなに惹かれ合って、さらに今すぐ一緒になろうなんて……どうしても無理なんだよ。
    思わず口にしそうになった言葉を呑み込んだ。
    二人はただ黙ってお互いの手を握りしめている。離れ難そうに、しっかりと固く結んで。
    それを見て、不覚にも涙が出そうになる。
    たった一日で二人の運命がガラッと変わってしまった。
    思い合う二人をこれから引き裂くなんて…何がデート企画だ。幸せになりやしない、こんな残酷な話があるかよ、馬鹿野郎…!!

    気付けば、いつの間にか雨が激しくなってきた。急がなければいけない。
    「…制限時間も近付いてる。二人共、駅に向かうぞ」
    鼻の奥がツンとするのを感じながら俺は車のエンジンをかけ、ハンドルを掴んだ。

    つづく

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  • 15249. 匿名 2024/05/10(金) 09:11:32 

    >>15248
    みんな間違ってないのにどうしても抗えない事実があるの、辛いね🥲読んでます。

    +20

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  • 15251. 匿名 2024/05/10(金) 09:14:46 

    >>15248
    ガル子と炭治郎の想い合う気持ちにも、後藤さんの苦悩にもめちゃくちゃ感情移入して読んでいます
    どうなっちゃうんだろう
    続きをお待ちしています

    +20

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  • 15252. 匿名 2024/05/10(金) 09:15:10 

    >>15248
    (´;ω;`)ウッ…

    +18

    -3

  • 15255. 匿名 2024/05/10(金) 09:23:00 

    >>15248
    後藤さん目線での語りがなおさら辛いし効いてますよね!
    みんな辛くて切なくて…でも後藤さんはやっぱり後藤さんだわ~という
    うーん、悲しいけどこの先も見届けます!

    +20

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  • 15265. 匿名 2024/05/10(金) 09:41:57 

    >>15248
    うう、私も別れの時間が来るのが辛く悲しく感じる😢この2人どうなっちゃうの?!
    そして大人な後藤さんよ…カッコイイ…✨

    +21

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  • 15665. 匿名 2024/05/10(金) 22:52:18 

    >>15248
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 24話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です  


    駅の構内は静かで私達以外誰もおらず、三人だけだった。「俺は席を外すから」と後藤さんが気遣い、二人きりにしてくれた。
    私と炭治郎はずっと手を繋いだまま無言で佇んでいた。別れを目前に言葉をいくら伝えた所で足りるはずがない。それよりもっと近くで彼の温もりを感じたかった。彼の側にいられた事をいつまでも覚えていたい。記憶に深く刻み付けておきたい。
    「おいで」 
    炭治郎が繋いだ手を引き寄せて胸元に抱きしめた。私も腕を背中に回して力を込める。濡れた隊服の雨と汗の香り。彼は私の髪に頭を寄せた。
    「…悲しい匂いがする。俺も同じだ」
    「ハンカチ、ごめんなさい」
    「いいよ」炭治郎は、買ったそのハンカチで私の頬の涙を拭いた。
    「これ、俺が持っておくから」
    優しい声にもう泣く声を抑えることが出来ない。
    「は、離れたくないよ…っ」
    「そうだな。俺も離れたくないよ。ガル子の話をもっと聞きたかった。何が好きかとか、どんな所に住んでるかとか、あと…未来?からわざわざ来てまで、何で会いたかったのが俺なのか、ちゃんと聞いてないからな」
    「……」
    「俺は諦めないから。辛いのは今だけだ、また会えるって思ってる。ちゃんとやるべき事を果たしてガル子に会いに行く。絶対に方法はある。だから信じて待ってて」
    絶対、絶対に俺達また会えるから───
    炭治郎の声が何度も繰り返し耳元に響き渡る。
    抱きしめる腕に力を込めた。なるべく隙間がないように、ピタリと寄り添うように。
    このまま時間が止まって欲しいと願いながら。

    「時間だ、ガル子さん、炭治郎」
    背後で後藤さんの声がした。 

    手は繋いだまま列車へと近付いていく。
    開いた扉の向こうに足を踏み入れようとした時、炭治郎が一瞬躊躇した。
    「炭治郎、またね」
    「…うん」
    彼の瞳が中が僅かに揺れている。繋いだ手を離し、車両の中へ身体を預けるとすぐに列車の扉が閉まった。私達を隔世する重い、重い扉が。
    お互いに涙を流し悲痛な面持ちのまま、炭治郎が列車を追いかける。車窓はどんどん先へと移動し、ついに彼の姿が視界から消えてしまった。
    最後、炭治郎の叫ぶ声が聞こえた気がして私はその場に泣き崩れた。

    つづく

    ※プラスもコメントもいつもありがとうございます!励みになってます、本当に😢 また更新します。

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