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14816. 匿名 2024/05/09(木) 18:52:33
⚠️デート企画⚠️解釈違い
>>14756
「ミズクラゲの恋」 第九話
いま私の好きなところって言った?
でも今日会ったばっかりだよ。
「俺を待っていた時の顔」
愈史郎は私に構わず話しだした。
「俺、ここ数日寝てないって言っただろ。今日も撮影が明け方までかかって、家で風呂だけ入ってから待ち合わせ場所に向かったんだ。寝たら起きられなさそうだったからな。それで、あのカフェでコーヒーを飲みながら、ガル子のことを待ってた」
確かに。
愈史郎が待ち合わせ場所の正面のお店から出てきて驚いた。
「スマホ見ているやつばっかりの中で、ガル子は人待ち顔でそわそわしてすごく目立ってた。楽しみで待ちきれないって顔してて、企画の相手があの子だったらいいなと思った」
待ってる時なんて全然意識してなかった。
愈史郎は優しい顔で続けた。
「普通に考えたら、中二病で天邪鬼過ぎる男なんて嫌だろ。でも、俺の口が悪くてもファッションセンスが最悪だったとしても良いと思って応募してくれたっていう話を聞いた時も、驚いたけど嬉しかった」
空がオレンジ色に染まりはじめ、汽笛が一つ鳴った。
閉園時間まであと少しだけ。
船を降りた私と愈史郎はお土産屋さんに向かった。
「愈史郎、新しい剣のコレクション探す?」
「そうだな。伝説っぽいのがあったら教えてくれ」
「了解!」
フロアに何件もあるお土産屋さんを片っ端から探したけど、結局これ!というものが見つからないま蛍の光が流れ始めた。
「ダメだったー。定番のしかなかったよ」
「定番ってなんだよ」
「愈史郎がもう持ってそうなやつ」
愈史郎は笑って小さな包みを取り出した。
「これ、やる」
「綺麗!」
それはシーグラスみたいなキャンディーだった。瓶の中でカラフルなかけらがキラキラしてる。
「いつの間に?」
「ガル子がキーホルダーを探してる時」
全然気が付かなかった。
「絶対にレアなの見つけてやるって気迫だったからな」
続く
(折角だから夕方に写真撮れば良かった…)![]()
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14819. 匿名 2024/05/09(木) 18:57:09
⚠️デート企画⚠️解釈違い
>>14816
「ミズクラゲの恋」 第十話
長く伸びた影を見ながらゆっくりゆっくり歩いても、10分もしないうちに出口に着いてしまった。
何も言わずに歩幅を合わせてくれる優しさが嬉しかった。
「愈史郎、今日はありがとう。すごく楽しかった」
「俺も楽しかった。あとはやり残したことはないか?」
「うん」
真っ直ぐに正面から向き合った。
後ろから夕陽を浴びた愈史郎はやっぱりかっこいい。
手を伸ばしたら強く握り返してくれた。
恋人ごっこはこれで終わり。
最後は推しとファンらしく握手で終わるくらいがちょうどいい。
泣きたくない。
あと少しでも一緒にいたら、涙がこぼれそうだった。
「私、寄り道して帰るので、現地解散でお願いします」
電車に乗って深呼吸を一つした。
誰にも言えないけど、ものすごーく正直に言うと、愈史郎が私の好きなところを教えてくれた時に「実は前から……」みたいな展開を妄想した自分が恥ずかしい。
そんなわけないよね。夢小説の読み過ぎだ。
愈史郎はたった一日だけなのに、絶対に夢を壊さない完璧な彼氏だったなあ。
今までデート企画に当選した人は、お別れは辛くなかったのかな?
家に帰って、お土産にもらったキャンディーを眺めた。
予告どおりにイメージを上書きされて、今日のどこを切り取ってもときめく。
どうしよう。実際に会ったらもっともっと好きになっちゃった。
「この企画、夢みたいだけどリアコには終わってからがキツイなあ……」
その日、私は初めて人を好きになり過ぎて泣くという経験をした。
続く
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14829. 匿名 2024/05/09(木) 19:27:13
>>14816
わあ、琥珀糖?凄く綺麗
ガル子さんの📸かな😊+14
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14850. 匿名 2024/05/09(木) 20:02:30
>>14816
剣さがすの草w
キャンデー綺麗~✨+13
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