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14711. 匿名 2024/05/09(木) 12:07:35
>>14685
鬼滅デート企画🎴&歌お題 20話目
⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です
時刻は既に夕方に近い。車窓から眺める景色は、辺り一帯をオレンジ色に染めている。後藤さんの運転で浅草近辺をドライブした後、自然な景色を見ようと郊外までやってきた。木々が茂る山の向こうから流れる川、静かな田んぼ、穏やかな景色が続いている。
すると後藤さんが車を停車させた。
「炭治郎は知ってるだろうけど、ここが藤襲山です。ここの藤の花は本当に見応えがありますよ。あと、浅草での鬼騒動を踏まえていつもより厳重に管理してるんで、安心して楽しんで下さい」
「何かあれば俺もいるし、大丈夫です」
「ありがとな。だけど今夜は、ガル子さんのためにも一緒に藤の花を楽しんで来い。俺はここで待機してるから」
炭治郎が頷き「行こう、ガル子」と私の手を取った。最初はお互い、あんなにぎこちなかったのにな…と思い出してつい微笑んだ。今では自然に手を繋いでいる。私は思いを込めて炭治郎の手を握り返した。
「足元気を付けて」
日が暮れて行くに従い、山道も薄闇に包まれていく。
不思議と怖くないのは彼と一緒にいるからだろう。しばらく歩き進めて行くと、淡い光を放つものがふわふわと辺りを漂っている。
「ホタルだ、見て、炭治郎!」
「あ、本当だ」
立ち止まって周囲を見渡すと、いつの間にかホタルの光があちこちで輝き出した。
「すごいね!私こんなに沢山のホタルを見たことがないから、ビックリしちゃった」
「そうなのか?」
「うん」
「じゃあ、もっと見せてあげるよ」
炭治郎に連れられ小脇の道に入る。近くに小川があるのか、水の流れる音がした。
「ほら見て」
「うっわ…すごい…」
そこは無数のホタルの光がキラキラと輝く場所だった。
炭治郎が手を広げると、そこへ小さなホタルがやってきた。僅かに強弱をつけて光を放っている。
「疲れてるのかな」
「ホントだね。でも可愛い」
しばらくすると、炭治郎の手のひらからホタルが再びふわっと飛んでゆく。それを見送った後、炭治郎が言った。
「もうすぐ頂上だ。そろそろ行こうか」
「うん」
再び手を取り、一緒に歩き出す。
つづく
※更新する度、プラスもコメントも頂いて本当に本当にありがたいです!!書き続ける原動力になってます。結構な長文になってしまい、連投すみません😅
+28
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14723. 匿名 2024/05/09(木) 12:43:14
>>14711
デートがずっと続いてほしい
藤の花に蛍鑑賞にと、デートの内容がとても素敵✨+22
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14726. 匿名 2024/05/09(木) 12:44:37
>>14711
読んでます🎴
後藤さんのしごできっぷりにも注目してます+21
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14729. 匿名 2024/05/09(木) 12:48:20
>>14711
読みながらお話の中のガル子さんに感情移入してまして
炭治郎とずっと一緒にいたい離れたくないよお…って私も思ってる+23
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14743. 匿名 2024/05/09(木) 13:38:53
>>14711
鬼滅デート企画🎴&歌お題 21話目
⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です
頂上までの山道を登るのは中々大変だった。
炭治郎に手を引かれながら「頑張れガル子、もう少しだぞ!」と明るく励ましてくれるので何とかついて行く。
次第に花の香りが強くなるのを感じた。周りを見渡すともう既に私達は藤の花に囲まれている。
「あの階段を登りきると頂上だから」
「う、うん…ハァ」
息もだんだん切れてくる、あと二段、一段…
「お疲れ!よく頑張ったな」
目の前には一面に広がる紫色、幻想的で美しい世界が広がっていた。圧倒されてしばらく言葉が出ない。奥はやや霞がかっていて、厳かな雰囲気の鳥居が見える。
「水飲んで。少しは落ち着くから」
炭治郎から竹筒を渡された。中には冷たい水が入っていて、飲んでようやく元気を取り戻せた。
「ありがとう。こんなにきれいな景色、はじめて」
「良かった。喜んでもらえたみたいで」
「まだ歩ける?」
「うん。山道じゃなければね」
炭治郎がふふっと微笑んだ。
「心配いらないよ。少し散策出来るんだ。案内するよ」
再び手を繋いだ。前を歩く炭治郎の背中を見つめて、私は胸が苦しくなった。もう、この手を離したくない。
無言のまま、藤棚の下を噛みしめるような気持ちでゆっくり歩いていく。
「あのさ、俺達、また会えるよな」
炭治郎が独り言のように呟く。私は今にも涙が溢れそうで答えられなかった。
「俺、昼前に…ガル子が寝てる間に買い物に行ったんだよ。これを渡したくて」
「え?」
「ハンカチ。ほら、ここの傷押さえてくれただろ?」炭治郎が頬の傷を指差す。「あの時ガル子のもの汚しちゃったから、代わりにあげたくて」
炭治郎が私に小さな包を渡した。それを受け取った私の目から、次から次へと涙がこぼれ落ちる。
「ど、どうしたんだガル子!」
「ごめんなさい、炭治郎!私達もう会えないかも…今夜が最後の日で、私は帰らなきゃいけなくて…ハンカチも、受け取れないの。そういう約束で…本当にごめんなさい」
両手で顔を覆った。泣いてしゃくり上げるのを必死に抑えようとした。でも、体が言う事を聞いてくれない。涙はどんどん溢れてくる。
《この時代のものは持って帰れない》
《例え炭治郎から贈られたものだとしてもね》
《炭治郎の身に何か起きるかもしれない》
お館様の言葉を思い出す。
「───どうして?何で俺達、今夜で最後なんだ?また会えるんじゃないのか?」
炭治郎が両手で私の肩を小さく揺すった。
「私が帰る場所が───未来だから。ここと違う時代に帰らないといけないから」
「えっ、未来?何を言ってるんだ?」
彼が戸惑うのも仕方がない。おかしいと思われるかもしれない。だけどもう、言わずにいられなかった。
「…どこだろうと、帰したくない」
「…」
「俺が守りたい。帰らないでくれ」
無数に咲く藤の花の下で、炭治郎が両腕で私を包み込み、きつく抱き締めた。
つづく
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