ガールズちゃんねる
  • 14558. 匿名 2024/05/09(木) 00:44:28 

    >>14494 SSちょい🐚
    続き


    両親が遺してくれた山あいの家での暮らしは、一変した
    夜明け前に菊菜を摘む際は、彼が見守ってくれて、急な猪に怪我をさせられることも無くなった
    「いつもありがとう」
    かすかなガス燈の灯りで、鎌を手入れする彼に話しかける
    「どれだけ助けても、足りねえなあ」
    笑いかけながらも罪悪感の滲む瞳は、初めて見た時とは全く違っている
    彼と暮らして半年、寝付くまで頭に添えてくれる手が、もどかしかった

    ある日の虎の刻、ふと目が覚め、畑が気になった
    寝ぼけていたかもしれない、ふらふらと表に出ると、そこに鬼がいた

    それが飛びかかってきた刹那、彼の青い鎌が光り、鬼は塵となった
    「夜半に外は出るな、肝を冷やした…
    何年振りだ、いや…何百…」
    彼の側に跪くと頬を包み、口付けた
    「何を…!!」
    離れかけた身体に必死でしがみつき、もう一度深く口付けをした
    「大丈夫。あなたがその気なら、わたしはもう鬼になってる」
    狼狽える彼に必死で説いた
    「私を信じて。私は何も貴方から奪わない。…私も。
    ずっとよ」

    「なら、お前がこの世を全うする時まで、助けるからなぁ。
    …お前が死ぬ時は、必ず俺の頸を斬ってくれるか?」
    「もちろん。私が斬る」
    雨戸を閉めた閨の中、私は彼の髪に指を滑らし、彼の爪は乳房にかかった
    青の髪を胸に埋めながら、誓った
    ずっと彼に添い遂げる、
    私は 修羅の道を行く

    おわり

    +24

    -9