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14448. 匿名 2024/05/08(水) 22:32:58
>>14438⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え
年上の後輩📿⑰
会議室に戻ってそのまま、置いてあるノートパソコンを開いてみたけれど、起動する手が止まる
涙がキーボードに落ちてしまい、私はゆっくりと椅子を引いた
熱い涙が延々と落ちていく。
撃たれたように目を閉じて、頬に触れられた銃鉄のようなあたたかさを感じとる。
────覚えていて
あなたが何をしていようとどんな場所だろうと、誰といようと、私は必ずあなたの元に駆けつけます─────
約束でもなんでもない、おまじないに成り果てた、すりきれたそれを引っ張り出す
悲鳴嶼くんはきっと本当に駆けつけてくれる。そう思えるだけで良かった。
実際にはそれが泣き止まない女に困り果てた彼の常套句であろうと、私はそれを何度でも真実味を持って思い出せた。
ひめじまくん、と呟くと、いつものように気持ちが落ち着いていく
ふぅっと息を吐いてパソコンに向き合った時、はい、と声がした
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14477. 匿名 2024/05/08(水) 22:50:11
>>14448⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え⚠️🐚
年上の後輩📿⑱終
会議室後方の扉近く、幻とは思えない存在感ある彼が壁に寄りかかっていた
「なんでいるの?」
思わず尖った声が出た私に彼が驚いた顔をする
「すみません、忘れ物をしてしまって」
「…どれですか?」
恥ずかしさで消え入りたくなるような気持ちで会議室を見渡す。自分の資料とパソコン以外に何もないことに気づいた瞬間、デスクの上の資料を雑にどけた彼に押し倒された
「忘れ物は」
「嘘じゃない、ちゃんと忘れていますよ。フロアに入る前にスマホを取り上げられたんですが、返してもらうのを忘れていました。」
間違えた。まずこの状態を指摘すべきだったのに。
「…こうしていると、思い出しませんか」
一瞬であの夜に引き戻されて眩暈がする
どろどろになった私を組み敷いて、好きだとは絶対に言わないまま、愛おしそうに見つめられた
こうしていると、あなたもただの年下の女の子だな
「もう一度、呼んでください」
一度でも助けを求めたら、あの夜の、何も持たない自分に戻ってしまうと思った。
「ずっと、俺のことを考えていたと言ってください。会いたくてたまらなかったと、言って」
けれどもそれは、私をどこへでも行けるような身軽さにもしてくれる。
「ひめじまくん」
「はい」
「ひめじまくん」
「はい」
「ひめじまくん」
「はい」
「ひめじまくんがいたから、私は私を大事に出来たんだと思う」
「そうですか、それはよかった」
「ひめじまくん」
「はい」
「こんなこと言ったら困るかもしれないけど」
「はい」
「私にあなたを、大事にさせてもらえないかな……」
虹彩の薄い瞳から、惜しみも無くあたたかいものが溢れていく
何も持たないちいさな生き物になって、彼に手を伸ばした
涙で透き通った会議室で、私たちは寄る辺なく抱き合っていた。
身じろぎもせず。
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