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14444. 匿名 2024/05/08(水) 22:30:20
>>14439《ア・ポステリオリ》20
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
宇髄さんがいないのに、宇髄さんの家にいるなんて不思議な感覚だ。
いつもと違うしんと静まり返った部屋に一人。でも、しばらくしたら宇髄さんが帰ってきて一人ではなくなると思うと、それだけで心が安らぐ。
疲れた。本当に。
ソファに座ると急に自覚した疲れが、一気に身体を支配する。先に食べといてって言われたけど、一人ではそんな気もおきない。
少しだけ…と思って横になったら、いつの間にか眠ってしまったようだった。
頬に何か温かいものが触れた気がして目を開けると、宇髄さんに顔を覗き込まれている。頬に触れているのは、宇髄さんの大きくて温かい手のひら。
「…起こしちまったな。ただいま」
「……おかえり」
ただいまを言われて反射的におかえりと言ってしまったけど、宇髄さんの家なのに私がおかえりを言うのは図々しかっただろうか。
「スーツ、皺になるぞ」
頬に触れていた宇髄さんの手はそのまま頭をすっと撫で、ぽんぽんと優しく跳ねる。私の反応を待たずに、宇髄さんは洗面所の方へ歩いて行った。
着替えもせずにあのまましばらく眠っていたみたいだけど、身体は怠いままだ。ソファに縫い付けられてしまったんじゃないかというくらい重く感じる身体を、やっとのことで起こしたけど、立ち上がれない。
動けないままぼうっとしていると、いつの間にかジャケットを脱いでリビングに戻ってきていた宇髄さんが、胡座を描いて床に座った。テレビを一通りザッピングしている姿を、ソファに腰掛けた私が見下ろす。
見下ろすのは新鮮だな、なんて頭が働かないままぼうっと見ていると、
「なんか食った?」
テレビを消して振り替えった宇髄さんが、私を見上げる。
「あ、まだ…」
うっすらと隈ができている下瞼を見て、疲れてるんだな…と思いながら、きっと私も髪はボサボサで酷い顔をしているはず…と気付いて目を逸らした。
「そっか…俺も夜飯まだなんだけど、どうすっかな…。あんま食欲ねぇな」
ネクタイを緩めながらため息を吐いた宇髄さんは、明日も仕事だ。
「そうだね…でも、何か食べないと倒れちゃうよ」
「お前もな…。しゃーねぇからラーメンでも食うか」
「じゃあ、私お湯沸かすね」
そう言って立ち上がった瞬間。
ぐらりと、船の上にいるように身体が揺れた。
つづく+25
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14450. 匿名 2024/05/08(水) 22:33:46
>>14444《ア・ポステリオリ》21
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
────何?
貧血?目眩?バランスを崩した私の腕を、宇髄さんが引き寄せて。
倒れかけた身体は宇髄さんに抱きとめられて、膝の上にすとんと収まった。
いつもの私だったら。
慌てて立ち上がって誤魔化すように笑っていたと思う。
でもこの時はもうそうする気力もなく、ただ宇髄さんの膝の上で茫然とするだけで。
────沈黙が流れる。
茫然としながらも、少しずつ働き出した思考回路が、このまま宇髄さんに縋りついてしまいたい衝動と戦い始めた。
でも。
「…今日も頑張ったんだな」
小さな声でそう言った宇髄さんに優しく抱き寄せられて、抗う理性は残っていなかった。
宇髄さんの肩口に顔を埋めて大きな背中に腕を回し、ぎゅっと二人で抱きしめ合う。
大きく息を吸い込んで。
吐き出して。
腕に力を込める。
宇髄さんの体温と匂いは、どうしてこんなに私を安心させてくれるんだろう。
「俺も疲れたわ…」
はぁ…と深く息を吐いた宇髄さんの息が、私の首筋を掠める。
しばらくそうしたあと、ゆっくり身体を離した宇髄さんは。
そのまま私のジャケットのボタンを外し始めた。
つづく
(連投ごめんなさい💦
🌾や➕ポチありがとうございます❀)+26
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