ガールズちゃんねる
  • 13930. 匿名 2024/05/07(火) 22:33:55 

    >>13645
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 13話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です

    射的の他に金魚すくいもやってみた。
    私が苦戦する中、炭治郎が金魚を素早い動きで次々すくうのを見て周りは大騒ぎだった。
    お椀の中で元気よく泳ぐ金魚を二人で眺めていると、小さな子供が羨ましそうに見ているのに気付いた。炭治郎はしゃがんで、金魚を数匹子供が持つお椀に入れた後に優しく頭を撫であげている。その眼差しが穏やかで優しくて、私は不意に泣きそうになってしまった。残った金魚を水桶に放した時、少しだけ陰を帯びたように見えた。胸がギュッと締め付けられる。
    炭治郎が心から笑える瞬間を、私は少しでも生み出す事が出来ないだろうか…

    一通り遊んだ後、ひと休みしようと小さな噴水の出る池の側までやってきた。
    「例えばだけど、みんなで縁日行ったりしないの?」
    「うーん、皆任務で忙しいから中々」
    「そうなんだ」
    「だから今日はとても楽しかった。ガル子さ…ガル子のおかげで」
    「呼び捨てって難しいよね。私も炭治郎って呼び捨てするの、すごい照れちゃう」
    「明日の午前零時には帰るんですよね?」
    「うん、そうみたい。後藤さんが言ってたから」
    「これからまたどこか行きますか?」
    「うん、でも何か喉渇いてない?実はさっきラムネ売ってるお店近くで見つけたの。色々付き合ってくれたお礼に買って来る!」
    「あっ、俺が行きます!」
    炭治郎が追いかけて来たが、私は「いいから待ってて」と強引に座らせた。後藤さんも今は近くに控えてはいないようだ。私は3人分ラムネを買おうと再び人通りへと向かった。

    (し、しまったあぁあ!!)
    お金を払おうとした段階で気付く。財布の中身は令和のお札だ。今まで炭治郎と食べたり遊んだりした分は「おもてなしの一部」として私は出しておらずお金の事がすっかり抜けていた。はぁ〜、と深いため息をつく。
    (2人に何か、お礼をしたかったのにな…)
    意気消沈し通りを戻ろうとしてハッとする。
    (───あれ、私、どこから来たっけ?)
    周りを見渡すと似たような建物、路地が多い。ラムネを買おうと人の流れをかき分ける事に意識がいって、完全に方向を見失ってしまった。
    (ヤバイ!こんな所で迷子になったら…!)
    不安と緊張感でオロオロする。私は人の好さそうな女性に声をかけた。
    「すみません、噴水の出る池の近くはどこに行けばいいですか?」
    「噴水が出る池?あちこちにあるからねえ。向こう側の路地を抜けた所かしら」
    「ありがとうございます!」
    私は人波を渡り路地へ入った。元の路地とは雰囲気が違うが行くだけ行ってみようと思った。
    人通りから離れ、さらに路地を曲がると闇が段々濃くなってゆく。私は不安と緊張に包まれながらさらに奥へと足を踏み入れる。

    つづく

    ※まとめの中マイペースに連投すみません!コメントやプラス、読んで下さりいつもありがとうございます!!

    +25

    -3

  • 13934. 匿名 2024/05/07(火) 22:36:16 

    >>13930
    展開に引き込まれてます
    ガル子さんは無事に🎴のところに戻れるかな!?

    +21

    -3

  • 14024. 匿名 2024/05/08(水) 00:56:03 

    >>13930
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 14話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です

    路地を抜け、灯りの乏しい闇の中を進んで行くと、ようやく開けた場所に辿り着いた。けれど噴水はない。生温い風が木々を揺らし、朽ちた建物の残骸に私は気味が悪くなって身震いする。
    (道を間違えた、元の道に戻らなきゃ…)
    そう思って身体をぐるりと変えた時、何かが腐ったような生臭さが鼻をつく。

    女…おんなだ…にんげん…にんげんのニンゲンノオンナニンゲンノニンゲンノオンナニンゲンノオンナ…

    恐ろしい声がして思わず耳をギュッと塞ぐ。けれど声は頭に響いて離れない。何処から聞こえるかもわからない。恐怖で目を閉じたいのに、闇の中に浮かぶ赤い三日月を捉えた。やがてそれが頬まで裂けた口だと気付いた時、私は既に逃げる暇さえ無かった。

    その刹那────

    「水の呼吸、壱ノ型!───水面斬り!!」
    私に襲い掛かった何かが、水飛沫のようなものを浴びながら一瞬にして水平に、しかも真っ二つに割れた。激しい断末魔が鼓膜を突き刺すように響き渡る。
    「ガル子!!」
    炭治郎の激しい声が飛び、私の方へ素早く駆け寄った。彼が身体を支えてくれるのに恐怖でガタガタと震えて止まらない。あまりの事に動悸もする。あれは…炭治郎が斬ったのは鬼なの?
    「私、驚いて…ごめんなさい…」
    「俺から離れないで」
    彼が再び向き直ると、鬼はさらに攻撃を仕掛けようと咆哮を上げこちらへ向かってきた。
    炭治郎は一瞬頬に浅い傷を受けたが、日輪刀を構えると瞬きほどの素早い動きであっという間に頸を斬った。
    やがて鬼の頚がボトリと音を立てて地面に転がり、闇夜へと煙のように溶けていく。
    カチャリ、と刀を鞘に仕舞う涼し気な音が聞こえる。
    これで全てが終わったのだ。

    「もう大丈夫だから。怖かったな。探すのが遅くなってごめん」
    私は頭を横に振った。怖かったけど炭治郎が助けてくれた。言葉にならなくて涙が頬を伝う。
    「炭治郎、頬にキズが…ごめんなさい」
    私はハンカチを取り出し、僅かに出血している傷を押さえた。
    「これくらい何でもないよ」

    すると後藤さんを先頭に、数十名の隠達が急いで走って来るのが見えた。
    「二人共!怪我はないか!!」
    「後藤さん!炭治郎が…」
    「いや、別に大した傷じゃ…」
    「ちょっと待ってろ」
    後藤さんは私達の状況をひと通り把握した後、安堵のため息をついた。
    「無事で良かった。本当に…」
    目元しか見えないけれど、後藤さんがすごく心配してくれているのが伝わって、また泣けてくる。
    「事後処理は俺達に任せて。炭治郎とガル子さんは近くの藤の花の家に移動してくれ。手配は既にしてある。ガル子さんは歩けるか?」
    「はい、大丈夫です」
    「よっしゃ、ここが終わったら俺もすぐに行くから」
    「わかりました」

    先ほどまで闇に包まれていた路地裏が次第に明るくなってゆく。見上げると、分厚い雲が風に流され、夜空に大きな月が浮かんでいた。

    つづく

    プラスもコメントも、引き続き読んで下さる方もありがとうございます!

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