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13803. 匿名 2024/05/07(火) 20:48:24
>>13800
「大盛りご飯と恋の炎」⑧
「これは!兄としての面目を保てなくなる所だった!助かった、ありがとう!」
「…兄?」
「ああ、今日は弟の誕生日でな。年が離れているのもあって可愛くて仕方ないんだ」
「はぁ…お、弟さん…そっ、そうですか…それはおめでとうございますっ!!」
膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪え、言葉を搾り出した。
「千寿郎の誕生日か、相変わらずの溺愛ぶりだな…そりゃあ彼女も出来ないワケだ。槇寿郎がこぼしてたぞ」
「父がそんな事を!」
キョトンとする私に煉獄さんが説明してくれた。
「モブ木さんと俺の父は昔からのご近所さんで飲み仲間なのだが…よもやそんな話をされていたとは、いや参った」
「弟さんと仲良しって羨ましいです、私一人っ子なんで」
「なあガル山ちゃん、杏寿郎みたいなのはタイプじゃないかい?」
「ヒッ!?」
「むむっ!?」
思わず変な声を上げてしまう。が、同時に違う声が重なった。
(モブ木さん、なんて事を!?勘がいいのか天然なのか!?いや、それより何より!私じゃない変な声?)
「な、何て事を!ガッ、ガル山さんにも選ぶ権利って物が」
「えっ!?いや…そんな!!選ぶ権利なんて私じゃなくて煉獄さんに…と、とにかく、私はこれで!!」
言い終えると同時に全速力で駆け出した。もう頭の中は混乱しきってめちゃくちゃだ。
食堂へ戻る道すがら、私の頭の中は忙しかった。
(あぁっ、もうっ、落ち込んで損したーっ!ってか煉獄さんフリーなの!?信じられないけど本人が認めてるからそうなんだよね?やだ、どうしよう!!それに…煉獄さん、あたふたしてたよね!?)
続く+24
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13880. 匿名 2024/05/07(火) 21:51:03
>>13803
「大盛りご飯と恋の炎」⑨(最終話)
次の日も煉獄さんと私は昼休みの食堂で普段通りのやりとりを交わす。
「はい、ご飯大盛りです!」
「うむ、ありがとう!」
しかし、普段通りでない出来事は退勤時に起こった。
正面玄関の脇にあるロビーで煉獄さんがベンチに腰掛けて缶コーヒーを飲んでいる。帰りにこの場所で会うのは初めてだ。
「ガル山さん、お疲れ様。昨日のお礼に良かったら家まで送らせてくれないか?」
「お礼だなんてそんな!でも折角なのでお言葉に甘えてお願いしちゃいます」
今日はそのまま駐車場まで一緒に歩いて行く。
「お礼がこれだけでは到底足りないから、今度改めて何かご馳走させて貰いたいのだが」
「いや、そんなお気遣いなく」
「ならば!お礼ではなくデートの誘いとしよう!」
「いえ、えっ!?えぇっ??デートぉ!?」
私の言葉を聞いた煉獄さんが目を見開く。
「す、すまない!つい…そのっ…そういう事だ…君と仕事抜きで二人きりで会いたい…嫌だろうか?」
「嫌じゃないですっ!!」
慌てて被せるように返すと煉獄さんは照れ笑いをしながら話し始めた。
「恋の炎は扱い慣れていなくてな。だけど君を好きな気持ちに偽りはない。毎日君がにこやかに大盛りのご飯を出してくれると午後も頑張ろうって気持ちが湧き上がる。いつの間にか、食堂のご飯でなくて君の手料理をこんな風に出して貰えたらきっと幸せに違いないと思うようになっていたんだ」
信じられないけれど、夢じゃない。今、煉獄さんは私を好きだってハッキリ言ってくれた。
「私の方こそ、いつも明るい煉獄さんから元気を貰っていました。お話すればするほど優しくて頼りがいがあって好きだなって…」
煉獄さんはフーッと息を吐いてから、そっと私の手を取る。
「今日は助手席に座ってくれるか?」
「はい」
車を発進させるや否や、煉獄さんが口を開く。
「君との初デートは芋の街に行きたい!小江戸と呼ばれる情緒のある場所で…」
「川越ですね。時の鐘と蔵のまち、とも言われているんですよね。私も実は、さつまいも大好きなんです。是非行きましょう」
煉獄さんが顔をパッと輝かせる。猫みたいなキラキラとした目…やっぱり可愛いな。外食も大盛りを頼むのかな?川越に行ったら食べたいスイーツを次から次へと語る横顔を見ていると、幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。
終わり(読んでくださった全てのガル子さん、ありがとうございました!)+22
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13970. 匿名 2024/05/07(火) 23:15:22
>>13803
あたふた寿郎かわいい+16
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