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13727. 匿名 2024/05/07(火) 18:10:30
>>13726
「大盛りご飯と恋の炎」⑥
「もう大丈夫だ。確認してもらおう」
作業を終えた煉獄さんに呼ばれてワゴンを見に行くと、ヒビはすっかり消えていた。
「綺麗になりましたね、ありがとうございます!」
「いつも美味しいご飯を出してくれる君達の役に立てて何よりだ」
直してもらったワゴンは昼休みから早速活躍している。
そして煉獄さんが食堂に姿を見せた。
「これ、食堂の皆から今日のお礼です。ささやかですが、ご飯大盛りの代わりって事で。お蕎麦にも別で一人前の天ぷら乗ってますから沢山食べてくださいね」
今日のメニューは天ぷら蕎麦。そこに乗せる一人分の天ぷらにさつまいもの天ぷらを更に2枚足したお皿を煉獄さんの持つお盆に乗せた。
「そんな気を使わなくても良いが、天ぷら二人前とはありがたい。遠慮なく戴こう。皆さんにもよろしく伝えておいてもらえるだろうか」
「はい!」
昼休み終了の5分前。食堂に静寂が戻り、テーブルを拭いて回っていると床に一枚の紙切れが落ちているのに気が付く。拾い上げるとそれは地元の洋菓子店の注文票だった。注文者の欄に力強く書かれた名前を見た途端に心臓の音が速くなる。
(煉獄さんだ)
更に注文内容が見えて指先が震えた。
「季節のフルーツタルト4号 バースデープレート付き【お誕生日おめでとう せんちゃん】」
(せんちゃん…4号のホールケーキは2〜4人分。間違いなく彼女だよね、煉獄さんなら半分以上平気で食べられるはずだし)
おまけに受取日は今日の夕方になっている。退勤後にその足で取りに行くのだろうし、今頃注文票を失くした事に気が付いて困っているかもしれない。
『せんちゃん』にジェラシー感じちゃうけど、人としてこれはちゃんと届けなくちゃ。
でも気になる…せんちゃん…
続く+23
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13730. 匿名 2024/05/07(火) 18:21:39
>>13727
とっても楽しく読んでます🔥+17
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13800. 匿名 2024/05/07(火) 20:46:55
>>13727
(プラポチ、コメントありがとうございます😌&立て続けの投稿失礼します💦)
「大盛りご飯と恋の炎」⑦
現場の休憩時間になるのを待って、デスクから立ち上がる。
溶接班の場所は今朝一度行った位では覚えきれていないが、通りかかった人にでも聞けば辿り着けるだろう。歩く間も『せんちゃん』は綺麗系の大人な女性なのか、スポーティーでショートカットが似合うようなさっぱりした人か、はたまた守ってあげたくなる可憐な女の子かと考えてはため息が出てしまう。
「おーい、ガル山ちゃん。こんな所でどうしたんだい?」
声の主は私が自分の孫に雰囲気が似ているから、とよく食堂で話し掛けてくれる嘱託社員のモブ木さんだった。
「モブ木さん、お疲れ様です!溶接班の持ち場に行きたくて。どっちに行けばいいですか?」
「ちょうど今から俺も行く所だから案内するよ」
「ありがとうございます!煉獄さんの落とし物が食堂にあったから届けに来たんです」
「なるほど、杏寿郎もそそっかしい所が有るからなぁ」
少し歩くと「G-16」と書かれた棟に辿り着いた。
「杏寿郎、お客さんだぞ」
「あぁ、モブ木さん。おや?ガル山さん?」
先程見たファイヤー柄の溶接面を手に持ったまま、煉獄さんが駆け寄って来る。
「ところで二人して来るとは?」
「ガル山ちゃんは食堂に落とし物が有ったからって届けに来てくれたそうだよ」
「落とし物…何か落とすような物があっただろうか?」
「あ、あのっ、これです」
注文票を手渡すと煉獄さんはハッとした顔をする。
続く+18
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